サラフィアー

PLUTOのサラフィアーのレビュー・感想・評価

PLUTO(2023年製作のアニメ)
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おすすめされたので鑑賞。自分ではなかなか手に取らないジャンルだけど、先が気になってイッキみしてしまった。

ちと世界観に触れるので、その辺り知りたくない人は読まないで!




ロボットが人と(ほぼ)同様の権利を持ち、共生する世界。
「共生」とは言っても、たかがロボット、人間の気持ちなどわかり得ないという偏見を持つものもいれば、ロボットには命や心を見出せず、ただの機械と見て冷たくあしらう者もいる。ロボットに仕事を奪われて憎しみを持つ者、まるでKKKのように秘密裏にロボットの排斥を誓う者も。この辺りの世界観の作り方がリアルで絶妙。

気づかなかっただけで、人間が思うよりも、ロボットは人間に限りなく近づいている。そんな複雑な世界では人間同士だけでなく、人間からロボット、ロボットからロボット、ロボットから人間へ、さまざまな感情が渦巻いて混沌状態になっていることは疑いようがない。

そして始まる「7人の世界最高水準のロボット殺害」。
最初は誰のどこに対する憎しみ?と探りながらみていたけど、あまりにもいろいろな思いが錯綜していて、連鎖していて、真実に近づけば近づくほど悲しかった。

この悲劇、そして暴発寸前だった世界を破滅に向かわせるきっかけとなる出来事が第39次中央アジア紛争。そもそも39次って…どれだけ紛争が起きているんだ…と聞いただけで気持ちが沈むんだけど、この戦争はまさにイラク戦争。「可能性」だけで、街が悉く焼かれ大勢の民間人が無惨にも殺されてしまう。この描写は今のパレスチナを思い出さずにはいられない。

痛烈な社会風刺になったことで、「ロボットと人間の共生」といういろんな物語で繰り返し語られてきたテーマをより重く、リアルに描けていると思った。すごい物語だなこれ…

8話で7人の世界最高水準のロボット、そしてあのロボットに感情移入させるのすごい。
特にゲジヒト…泣いてしまったよ。。
あとブラウがいいですね。