夏夜

ヴァイオレット・エヴァーガーデンの夏夜のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

細かい部分を忘れてしまったため再視聴。

自分の負った火傷を忘れないように、人の心を結ぶお話。

1 ヴァイオレットが退院してから、恩のあるギルベルトから告げられた"愛してる"を知るために、自動手記人形になるまで。

2 ドールとして初めての代筆での失敗。人の感情が理解できないヴァイオレットは、人の言葉には裏と表があることを知る。先輩ドールであるエリカもこの仕事に向いてないと思っていたが、バイオレットの純粋な動機に感化され初心を思い出す。

3養成学校編。教官から、人の話の中から本当の伝えたい心をすくい上げるのがドール、と伝えられる。兵隊として西部戦線と両親を守れなかった自分を責める兄に対して、生きててくれるだけでありがとうと伝えられないルクリアの気持ちを聞き、自分の気持ちすらわからないのに、ヴァイオレットは兄への手紙を代筆した。それは短く拙いものだったけれど確かに届いた。

4アイリスの故郷の話。結婚して戻ってきて欲しいお母さんとドールとして誇りがあるアイリスは意見が食い違って喧嘩してしまう。誕生日パーティーの際、過去に振られたエイモンを招待したことからさらに溝ができてしまう。エイモンに愛してるを伝えたアイリスから、それは勇気のいるものだと教えてもらう。ドールになった動機を聞きアイリスは分からないと思っていたヴァイオレットのことを少し知る。それをきっかけにアイリスは言葉で伝えられない気持ちを両親に素直に手紙で伝えることができた。

5戦争の火種が燻る王国同士の王族の公開恋文の話。愛はわからないけど恋文は書けるヴァイオレットが代筆するのは、親代わりの侍女アルベルタと離れることが寂しい王女様。公開恋文はつつがなく進む。だが、王女は作られた文ではなく、王族ということの責務を抜きにありのままで話してくれた、それだけが嬉しかった。だけど向こうはどう思っているかわからない、本当の気持ちを知りたい。ヴァイオレットの働きかけにより、本当の恋文が始まった。そして直接プロポーズがなされる。これは普通の恋の話であり親子の話。

6写本家とペアになり重要書籍の解読と保存をする話。素直じゃないリオンとヴァイオレットはペアになる。ヴァイオレットは本当に気持ちを伝えるこの職に自分が合っているのか不安を覚えている。リオンは卑屈な自分と似ていると言ってくれたヴァイオレットに惹かれ、アリー彗星の観測に誘う。お互い親しい相手と離れ離れになっており、リオンから寂しいことを教えてもらう。リオンは大陸を回っているヴァイオレット感化され、文献収集の夢を目指すことを決める。

7舞台作者さんの執筆を代筆する回。ヴァイオレットは物語の登場人物に共感することを理解する。ヴァイオレットは寂しいを理解していたおかげで、奥さんと娘を亡くし寂しさの中にいる作者さんに共感できるようになる。共感してもらった作者さんは執筆中の物語をハッピーエンドで結ぶことを決意する。物語の締めにもなる、娘の湖を渡ってみたいという、いつかきっとをヴァイオレットが叶えたことにより物語は結ばれる。と同時にヴァイオレットは誰かのいつかきっとを奪ってきてしまったことを理解し、自分がやけどし燃え上がっていることを理解する。そしてギルベルトが亡くなっていることを告げられる。

8過去編。ヴァイオレットがギルベルトゆかりの地どこへ確認に行っても、ギルベルトは亡くなっていると告げられる。戦うことしかしてこなかったヴァイオレットは、人として生活することを知らない。そんなヴァイオレットを不安定と判断し戦場に出したくないギルベルト。戦場に出ても上の命に背き、ヴァイオレットを前線から遠ざけ人として扱おうとする。それでもヴァイオレットはなにを目指してか前線へ自ら赴き、道具として最大限の力を発揮する。それでもギルベルトは人として扱い、名前を授け、文字を教え、贈り物を渡す。それに伴い、如何にヴァイオレットが欠けているのかを知るギルベルト。決戦の終了次第、ギルベルトはヴァイオレットに軍をやめ普通の暮らしを送って欲しい。ヴァイオレットはギルベルトに不要と思われていると考えてしまう。

9過去編続。決戦時、作戦は成し遂げるものの、ギルベルトは左目を、ヴァイオレットは両腕を失い、逃げようにも満身創痍になってしまう。そしてギルベルトから、生きて自由になりなさい、心から愛してると告げられる。理解のできない言葉に戸惑うも、建物が崩壊しそれっきりとなってしまう。
人の気持ちを理解したことで、過去のギルベルトの行動原理を理解し、さらに心に響いて落ち込んでしまう。そして同時に襲う、自分自身のやけど。どうしたらいいかわからないけど、命令を下してくれる人はもういない。そんな中、先輩たちから手紙が届く。そこには今まで出会った人達から人として必要とされている事、自分が書いた手紙が色んな人たちを結んだことを知る。やってきたことは消えない、やけども結びも。

10ある親子の物語。アンはお母さんのことが大好きな元気な女の子。ヴァイオレットとお母さんは7日間誰か遠くの人に手紙を書くためにアンからお母さんを奪う。でもお母さんは具合が悪いみたい。遊んでくれないのにみんな秘密ばっかり。この大きなお人形さんは私と一緒に遊んでくれる。でも本当に遊びたいのはお母さん。病気が悪くなって私は1人にされちゃうのに、今一緒にいてくれないのにお母さんは誰かに手紙を書く。なんで。そんないい子じゃない私をヴァイオレットは抱きしめてくれたの。それからはお母さんと月日を過ごした。亡くなるまで。そしたら毎年誕生日に50年間遠い空からお母さんから手紙に乗せて想いが届いたの。

11戦場にいる兵士の依頼を叶える話。たとえ戦場だとしても駆けつける自動手記人形。ヴァイオレットに出会えたエイダンは気持ちを伝えられるかもしれない。お母さんお父さんへ、そして恋人のマリアへ。みんながいる平和な所へ帰りたい、と。けれど戦場はそんなこと出来ない。そんな時間も余裕もないまま気持ちが散っていく。無力な自分を目の当たりにし、もう誰も死なせたくない。

12戦争の集結にむけて。和平の締結に向けて一役買うCH郵便社。そんな最中和平反対派が動きを見せる。和平反対派の兵士にも称えられるべき自分たちが踏みにじられたという思いがある。ヴァイオレットはもう誰も死なせない為に動く。ギルベルト兄は命令が欲しいだけの道具のはずだったのに、今は何のために動くのか疑問に思う。ギルベルト兄はヴァイオレットが道具じゃなくなりギルベルトを守れなかったことを責める。

13ギルベルト兄を守るため再び腕を無くしたヴァイオレットが争い目的ではなく立ち上がる意味がわからない。おかげで和平は結ばれた。戦争は終わった。ギルベルトのおかげで道具から心のある人になれたヴァイオレットはなにを綴るのか。ギルベルトの母はギルベルトが心の中に生きていると伝える。ヴァイオレットもギルベルトから貰ったものを心に生きていく。これからはただ生きると、愛してるがわかると、綴ることが出来た。
夏夜

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