「人の孤独を埋めるのは『愛されること』じゃないよ、『愛すること』だよ」
3番目の夫がそう告げる第9話が印象的。
「愛」とは「愛する技術」のことだと、明確なメッセージが一貫して描かれている。自分自身を自分自身で満たし切り、娘や親といった家族、友人、同僚、元夫達に至るまで周囲の人間を徹底的に愛する大豆田とわ子。
その「愛する技術」は一流。自分自身の寂しさを紛らわすために他人を利用することはないし、感情剥き出しで向かってくる相手に対し同じだけのエネルギーで向き合う。そんな彼女だから、モテモテなのも無理はないと思わされ嫌みがない。
人と人との「別れ」の描き方も特徴的。どんな別れ方をしたとしても、その相手が自分の中で、自分が相手の中で生き続けるならそれは良い「別れ」。相手が自分に、自分が相手に与えたものが何であったかが大切。
客観的にとか社会的にとか比較的とか、そんなことは横に置いて相手を愛し、自分と相手の関係を見つめるべき。改めてそう感じさせてくれる、良い作品だった。
『花束みたいな恋をした』を機に坂本裕二脚本を一通りみてみようと挑戦してみたが、他の作品もみてみようと思う。