ソウキチ

ユーフォリア/EUPHORIA シーブロブじゃない人なんて**くらえのソウキチのレビュー・感想・評価

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今作を含めたスピンオフ2作は単なるシーズン間の箸休め的なものではなく、『EUPHORIA』を過激さだけが売りのソープオペラたらしめない、作品の精神性を理解するうえで重要な位置付けのスピンオフだった。

本編ではメイクが印象的だったジュールズのスッピンがいきなり映し出される冒頭から本スピンオフの方向性が読み取れる。カウンセリングのなかで彼女が語る「何層ものレイヤーになった偽物の私」というのは、まさに過激で露骨な人間模様が展開されるドラマ本編のことをメタ的に言い表しているようにも思えた。

ドラッグとセックスとSNSの過剰なまでに露悪的な表現がキャッチーなドラマ本編に対して、カウンターとしての内省的で会話劇なスピンオフ。後者を経てやっと、彼女たちの痛みや孤独や絶望が「Z世代」みたいな陳腐な世代論ではあらわせない普遍的なものなんだと腑に落ちた。目を引くルックに騙されそうになるけど、物凄く普遍的な青春ドラマなんよな。

とにかくルーとジュールズがちゃんと作品世界で生きてる感じがして最高に愛しいです。2人とも演技すごい。
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