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いだてん~東京オリムピック噺~のinoueのレビュー・感想・評価

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2019.12.15

‪『いだてん』最終話見届けた。凄い。ただただ純粋に「凄い」と頷いてしまう物語だった。単純に金栗四三編・田畑政治編と割り切る分断した二部構成じゃなく、時代や世代を超えて縦横無尽に繋がり絡まり"オリンピック"に収束していく人間ドラマに泣かされた。約50話という長い長い"大河"だから描ける重層的な物語。特にビートたけし・森山未来・神木隆之介の狂言廻し、大好きだったなぁ…。「富久」で繋がっていく師弟、そして親子。太賀は良い役者過ぎるよ、本当に。"いつ押したのかわからない"嘉納治五郎のストップウォッチも忘れられない。「平和の祭典」を望んだ遺志が人の手で受け継がれ、それが形になり、たった一つの原点に帰ってくる。嘉納治五郎のオリンピックが、田畑政治のオリンピックになり、日本のオリンピックとして世界に伝わる瞬間は震えた。その他にも文字では語れないほど本当に多くの人間模様があって、そこにはいわゆる"モブ"なんて存在しないんだと強く感じた。そして最後に何と言ってもクドカンの力が大き過ぎる。彼無しにはこの物語を成立させることすらできなかったんじゃないだろうか。史実としての出来事と個人の物語と少しの創作というエッセンスを混ぜ合わせる構成力。魅力的なキャラクターたちとその掛け合いを描き、加えて社会的性差や民族問題、戦争と生活、政治とスポーツ…現代に通ずる様々な問題まで投げかけてくるも、あくまで大前提である"人を楽しませる面白いエンターテイメント"として昇華する脚本力。色々な形の"人間模様"を書いてきたクドカンだからこその物語。素晴らしかった。‬ありがとう。
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