上質なドラマが不倫をテーマにしながら観れるとは。最終回は特に素晴らしく、ドラマらしい連続性も生きていて良かった。
演出と脚本、踏み込みながら感情を表現する描写がとにかく上手い。不倫まではいかない、隣人の優しくもヒリヒリした関係を“うきわ”の3文字で表現できてしまう器用さ。時にファンタジックに、時にリアルを突きつけながらもどかしい関係を可視化していく。壁1枚あるだけで制御された感情がそうして小洒落た雰囲気で見られるというある種の矛盾も良いスパイスだ。
また、門脇麦と森山直太朗を始めとしたキャストと役割のバランスも上手い。善悪だけでキャラクターが出来ている訳でなく、それぞれ抱えた心の隙間と埋め方が綴られていく。だから、単に悪く思えないのももどかしく思える。
凄くフレッシュでありながら異端を攻めた今作。徹底的に向き合ったからこそ見える心模様が美しく思える良作。
