なおき

ゴッドレス 神の消えた町 シーズン1のなおきのレビュー・感想・評価

4.0
『誘拐の掟』(監督、脚本)や『LOGAN』(脚本)のスコット・フランクに、スティーヴン・ソダーバーグ(『ローガン・ラッキー』と『マジック・マイク』監督)を製作総指揮に迎えて、製作された大作西部劇のこの一本。
『LOGAN』が物語の大筋に『シェーン』を取り入れた西部劇のような味わいをもたらしたようにスコット・フランクは、ガチの西部劇である本作でも、過去の様々な西部劇の要素をもたらしている。
主人公ロイは『シェーン』のようでもあるし、物語の舞台である女だらけの町は『荒野の七人・真昼の決闘』に似てるし、腰抜け扱いされてる保安官ビルは『真昼の決闘』を思わせるところがある。


その上、西部劇の魅力でもある詩情あふれる風景美を余すことなく、全編に渡って撮りおろし、1カット1カットが見栄えすることこの上なし。
つまり、こういうこと。
「映像美、ハンパねえ」

さらに、このドラマ、複雑な背景を持った悪人として、フランクが登場するが、それを演じるジェフ・ダニエルズがエミー賞ものの演技で(実際、エミー賞リミテッドシリーズ部門助演男優賞受賞した)、作品に緊迫感を与える。
なにしろ、一見優しげで品位のある外見のじい様なのにも関わらず、ひとたび牙をむけば、虐殺、恫喝、思いのまま。
それでいて、善人の部分もあるという矛盾した二面性。
こんな難役を違和感なく演じたジェフ・ダニエルズに拍手喝采だ。
『ジム・キャリーはMrダマー』や『イカとクジラ』の時と全然違うもんなあ。


ただ、このドラマ、女だらけの町を悪漢フランクから守るために流れ者ロイや腰抜け保安官ビルが奮闘するというのが本筋なんだけど、本筋以外にも、様々な脇筋の話が展開されるので、本筋の話自体がなかなか進まなかったり、西部劇という性質上、じっくりと演出しているので、中盤になると結構だれてくる。

そのぶん、最終回が燃えるのだけど、これが大作映画並みのクオリティで、『マグニフィセント7』を彷彿させる面白さ。まあ、銃撃戦自体はあちらのほうが面白かったけど、それでも、ドラマとは思えないくらい激しい銃撃戦なんで、一見の価値ありだ。
なおき

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