ひな

今、別れの途中ですのひなのレビュー・感想・評価

今、別れの途中です(2021年製作のドラマ)
2.6
多くを盛り込みすぎたのが残念だと思った🥲この物語の軸はヨンウンとジェグクのラブストーリー。視聴者が期待しているのも間違いなくそこ。でもこのドラマは肝心なその部分が弱いなと思った。理由は2人のラブストーリー以外の要素を盛り込みすぎているから。
①ヨンウンとジェグクの恋愛
②ヨンウンのキャリアと夢の実現
③チスクとドフンの恋愛
④ミスクの病気と永遠の別れ
⑤ヨンウン両親の離婚騒動
①「ヨンウンとジェグクの恋愛」は物語の主軸。つまりは必須エピソード。
次に②「ヨンウンのキャリアと夢の実現」③「チスクとドフンの恋愛」について。
②はヨンウンとジェグクが出会うきっかけとも密接に関係しており、また、ヨンウンがどういうキャラクターであるかを表現するため重要だと思う。
③についても、16話の長きを乗り切るには、なくてはならないエピソードだと思う。
しかし、④「ミスクの病気と永遠の別れ」と⑤「ヨンウン両親の離婚騒動」はいらない。もしくはもっと扱いを小さくすべきだった。
たとえば④「ミスクの病気と永遠の別れ」。
「ミスクの病気と死」の方が、よっぽど『今、別れの途中です』というタイトルにマッチしたエピソードになってしまっている。結果、主軸であるはずのヨンウンとジェグクのラブストーリーを完全に食ってしまった。
(実際のところ、私がこのドラマで感情移入して泣けたのはミスクのエピソードだけだ)
加えて、ここには、アラフォー女たちの友情物語まで盛り込まれているので、ますます印象深いエピソードになってしまう。

けっしてミスクのエピソードが悪いわけではない。サイドストーリーとしてはインパクトが強すぎるのだ。主軸のラブストーリーこそが、常に物語の中心になければ視聴者の感情は迷子になる。

そして、⑤「ヨンウン両親の離婚騒動」。
正直、このエピソードはいらないと思う。
そもそも、あってもなくても物語の進行に影響を及ぼさない。にも関わらず、長きにわたる結婚生活で鬱屈がたまった母の心情が妙にリアルで、こちらも主軸を侵食しかねない要素を孕んでいる。もし、ヨンウンの親たちの『別れの途中』を描きたかったのならば、そういう意味では完全に失敗してしまっている。

結局のところ、多くを盛り込みすぎたことで、軸がブレたというのが「残念」と感じる最大の要因。

それによって物語の一貫性が損なわれた部分が、少なからからずある。

ちなみに、②「ヨンウンのキャリアと夢の実現」と③「チスクとドフンの恋愛」。

こちらは、必要なエピソードあることには違いないが、この物語における立ちが位置微妙。
というのも、主軸の恋愛よりも躍動感があって面白いのだ。ファッション業界で成功していくヨンウンの姿には共感できる要素は多々あったし、チスクとドフンの恋はサブのラブラインとしては上出来だった。
そうかんがえると、やはり、主軸となるラブストーリーが弱いのだろう。

恋愛におけるヨンウンの成長が見えづらい、そして心情の変化に一貫性がない

では、なぜ主軸となるラブストーリーが弱いのか。
いろいろと要因はあるが、細かいところを突くのではなく、主人公であるヨンウンを中心に考えてみたい。

ハ・ヨンウンは現実的で、賢い女だ。
言うべきことはハッキリ口にするが感情的ではない。むしろ感情を抑え込むタイプ。

大人の女としては魅力的だと思うが、ドラマの主人公としては、感情が読みにくすぎるという難点がある。特に、ジェグクに対しての感情が平坦に感じるのは私だけだろうか。

仕事関係者や元恋人スワンの婚約者の前では強気で意思ある女の部分が強調されるが、ことジェグクに関しては急に「普通」になってしまい面白みに欠ける。
それは「過去に負った傷が関係している」という設定なのかもしれないけど、ジェグクとの関係を悩む際のヨンウンの心の揺れがパターン化しているのも気になった。

いずれにしても、恋愛に関し、ヨンウンが自分の殻を打ち破ることはなく、激しい感情をぶちまける場面もない。恋愛においては成長しているのか現状維持なのかが分かりにくいのだ。

また右葉曲折あった結果として、「自分の夢を追いかける」というラストはいいと思う。でもそれは、恋愛でガッツリ感情を出し切ってからであってほしかった。
主軸であるラブストーリーを置き去りにして、自己実現に走ってしまっているところが、ラブストーリーとしての体をなしていないし、ヒロインの心情の変化に一貫性が感じられない(辛口)。
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