Kaji

シスターズのKajiのネタバレレビュー・内容・結末

シスターズ(2022年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

作家チョンソギョンの重層的な脚本をここまでエンタメにする監督、キャストのアンサンブルと非の打ち所がなくね?っとなる。

ずっとリアタイしてたけど「シスターズある日」「ない日」の活力が変わるほどだった。
相当集中してないと、ミステリーの端緒を離してしまいそうで配信につき2回か3回みてた。


ストーリーや展開が面白いのは言うまでもないが、そこに若草物語のみならず「マクベス」や神話のフューチャリングがあったり、蘭が木に依存して生息していることや、ドアのない部屋、クローゼットの死体、不審死と真相、お金の流れが入り組み迷宮化しつつ、土台に組み込まれた暗喩の鋭さと現代人としての女性を描こうとした姿勢も素晴らしかった。「アリアドネ」は糸玉を渡し迷宮をでるヒントを渡す神。イネや、わかっていたのだね。

クライマックスの酸もヘイトクライムのアシッドアタックを想起させる。
サンアの溺死もオフィーリア、ハムレット(父親の亡霊と会い復讐を誓い、気が狂ったふりをする王子)によって身投げに追い込まれた婚約者なのだ。ミレイの習作が一瞬映る。ジェサンもオフィーリアである。

三姉妹はどこか迂闊だったり、弱かったり、妙に達観していたりとぎこちなく危なっかしいとこが魅力的で、視聴中「あーあ、、」っとなりつつ、励ましつつ、姉妹への愛情にぐっときたり、、、どんどん平熱でどうかしていく皆さん最高でした。

「元経理だから数字が合わないとイラつくんだよ!!」ってパイプでコ室長を殴るインジュ最高です。
サンウ役のイミヌ俳優、私の試聴数ではおなじみの方ではなかったけども独特の雰囲気で幽閉されている王位継承者という感じがぴったり。ググったら子役からの大ベテランだった。
オムジウォン様の狂いっぷりと仮面的な表情演技も背筋が凍るし
三姉妹の目の演技、全てが可能になる金銭を前にしてからの猛進ぶり、
マンネたちの平和主義と静けさ。。。。
褒め出すとキリないわ〜

自律する覚悟と1人では生きられない弱さを同居させた人間描写は、今までのドラマの中で男性が表していたことを女性に置き換えて、被害者にならない女性、逞しさとしぶとさをお笑いにしない女性像がほんと好き。

ドイルがカッコよすぎだけど、ラストの「また会おう」は姿消します宣言だったのかなと思う。
こと男女のキャラクターが並列になる時、恋愛感情を想像してしまうけれど、あの塩な別れ方がオシャレだなと。
男男なら、無言で握手かなんかして夕日に消えていくラストなんだろう。
監督の近作「ヴィンチェンツォ」では美術館で再会し「君の部屋もあるよ」と全人類がソンジュンギから言われたい口説き文句で大団円だったけど、シスターズではビターかつ、恋愛ではない愛情を仄めかす「いい試合した部活後」的な着地がちょうど良かった。
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