ゆづきち

仮面ライダーBLACK SUNのゆづきちのネタバレレビュー・内容・結末

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

シン・仮面ライダーが真面目に原点リメイクをして、BLACK SUNが名だけを借りた革新的作品をやるのか。そう思っていた時期が俺にもありました。

元々孤狼の血シリーズ、日本で一番悪い奴らは視聴済みです。
なので白石監督はこの作品で差別、政治闘争等のBLACK放映当時の世相(当時生まれてないからちょっと感覚が分からないけどもう少し前の時代の雰囲気か?)を反映させたメッセージ性の強い作風になるのか?と思っていました。
…………………全くそんなことは無かった。そんなもん作劇上の要素のひとつでしかなくて、はっきり言ってどうでもいいし答えなんか出す必要ない。

完全なエンタメ作品。重いテーマ性に答えを出すものではなかった。

4話までは「特撮畑じゃない監督の描く仮面ライダー、やっぱ新鮮だしこういうのからしか摂取できない栄養あるなぁ」となってたんですけど…………

5話からはあまりに白石監督が特撮に毒されてて延々爆笑してました。あまりに特撮仕草すぎる。

光太郎の初変身。構図の作り方が完全に「昭和ライダーのオタクが理想の構図を作りました」という感じ。やってる事仮面ライダーSPIRITSか?

何より面白いのがそのシーンのビルゲニアのセリフ。
「何をする気だ!」「それがどうした!」
もう昭和ライダー仕草隠せてないよ。リアルで陰惨な仮面ライダーやると思ってた。ごめん、俺が間違ってたよ。

そこからも数々の「リアリティ追求するとめちゃくちゃ違和感がある要素」が逆にめちゃくちゃ面白くて本当に良かった。

創世王の心臓抜き出されたまま数話放置されてたけど、あれ原作の創世王が心臓だけだったオマージュですよね。要らんねんそんな変なオマージュ。ごめんなさいやっぱりめちゃくちゃ面白いんで要ります絶対に。

監督のクジラへの愛も面白すぎるし、クジラが瀕死のブラックサンを海を通って連れていくシーン、あまりにブラックサンがプカプカ浮いててあれだけで5分くらいずっと笑い止まらんかったもんな。

命のスープの下りも原点知らなきゃ「ブラックサン、なんかいきなりお茶漬けにされてるし生き返ってる…………」なの本当に面白すぎるし。

最終回、マジで流石に真面目にこの作品にケリをつけるかと思ったらやったな白石!!!!!
とうとう我慢できなくなったな!!!!!!
あんなんもう最早悪ふざけと言ってもいいだろ。好きすぎる。

そんでもってオチはちゃんと自分の作風にしちゃうのも笑ってしまった。ここで作家性差し込むんかい。

仮面ライダー、やっぱり粗がある方が安心するんですよ。
あばたもえくぼ。
真面目な社会派作品ではない。それがいい。
差別や政治、そんなもんはモチーフのひとつでしかなくてテーマでは無い。舞台装置のひとつでしかない。
紛れもなくこれは「仮面ライダー」であり、エンタメ娯楽作品以上でも以下でもない。それがこの作品のめちゃくちゃ良いとこなんです。
ゆづきち

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