Ayasuke

フィクサー Season1のAyasukeのレビュー・感想・評価

フィクサー Season1(2023年製作のドラマ)
4.8
オンライン試写会で1話・2話を視聴。
自分が過去に見てきたブラックリスト等の海外ドラマのような雰囲気。
音楽が良い。画面づくりが重厚でリアルで美しい。
豊富な資金力で世界の裏側から表舞台を操るダークヒーロー、唐沢さん演じる設楽の不気味さと悪の魅力が、1話目のオープニングから既にダダ漏れです。
まだまだ序盤なので、登場人物全員に裏がありそうで、とにかく怪しい。
忠実で実直に見えるあの人も実は……?
今のところ、お約束とも言える設定と展開ですが、役者が皆さん巧いので、飽きずにぐんぐんと物語に引き込まれます。
3話の放送まで1カ月ほど間が空いてしまうのがもどかしい。誰がどんな糸を引いているのか、続きがとても楽しみです。

町田啓太さん、WOWOW連続ドラマWへのご出演まことにめでたい。
脚本が最終話までそろった状態での撮影と知り、エンディングが分かった上で演技の組み立てができる、万全の態勢で渡辺達哉という役に臨んだであろう町田さんが、事件の真相に迫る若き新聞記者として、また作品全体を導くモノローグの語り手としてどう演じていくのか、3部作の最後の最後まで目が離せません。
ナレーションはいつもより低めの落ち着いた声で、感情をあまり込めずに淡々と喋っているなぁと思っていたら、要所要所で息を混ぜた緊張感のある声で重要な言葉を発するなど、町田さんのいつもの話し方を聞きなれている身としては、ハッとするほど意外でドキリとさせられました。
普段は少しおっとりとしていて実年齢より年上にも見える町田さんですが、渡辺達哉は年齢相応に若くて熱くて前のめりで、一見あぶなっかしいところはあるものの、取材対象に対する独りよがりに気づいたときには、自分の正当性にこだわりすぎず、すっと引いて視点を切り変えられるところなど、町田さんご自身の誠実さにも重なる部分があって、とても好感が持てます。
斉藤由貴さん演じるお母さんとのシーンもほほえましくて素敵。悪びれず素直に甘えられる安心できる場所があることが、達哉のキャラクター形成にどう関わってきたのか、今後の物語にも影響しそうな気がします。やっぱり"母を尊敬しています"と照れずに言える息子ってええなぁ。
1話の母子の会話で、達哉の過去にも何かあったのか?と思わされるシーンがありましたが、2話で少し回収されていてひと安心……でもこれもミスリードでは?と怪しんでしまうほど、既にフィクサーの術中に嵌ってしまっているのかも……。
あと、他のキャラクターもだけど、食事のシーンがその人の役柄や状況を表していてとても印象的。達哉はヘビーなサンドイッチにかぶりついたり、旨いコーヒーで篭絡されたり、食べたり飲んだりする対象物とシチュエーションが、物語の背景にある設楽の動きともリンクしていて、ほんとに上手い演出だなぁと唸ってしまいました。
というかめちゃくちゃセクシーな描写でしたね。
板倉刑事との関係性も気になるところ。小泉孝太郎さんとの疑似バディ感面白い。孝太郎さん年齢を重ねられて表情に深みが増してとても素敵。

自分は町田啓太さん推しですが、とにかく出演陣が豪華で演技巧者ばかりで、誰に注目しても楽しめる作品だと思われます。
1シーズン5話×3シーズン=15話で描かれるオリジナル作品を、しっかりみっちり楽しんでいきましょう。
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