なおき

FARGO/ファーゴ シーズン3のなおきのレビュー・感想・評価

FARGO/ファーゴ シーズン3(2017年製作のドラマ)
3.6
これまで、ドラマ『ファーゴ』は、過去のコーエン兄弟監督作品の要素を加えて、製作されてきた。
シーズン1は、『ノー・カントリー』。
シーズン2は、『ミラーズ・クロッシング』といった具合に。
それで、シーズン3も同様に過去のコーエン兄弟監督作品の要素が注入されているのだけど、今回はなんと、『赤ちゃん泥棒』だ。
ハゲの小悪党ニコラス・ケイジとそのしっかり者の嫁ホリー・ハンターによる泥棒夫婦を描いたコメディで、今回の『ファーゴ』シーズン3には、その『赤ちゃん泥棒』みたいな犯罪カップルが登場するのだ。


そのハゲの小悪党に扮するは、まさかのユアン・マクレガー。
今回は、ハゲの小悪党としっかり者の金持ちという双子を一人二役で演じてるのですが、しっかり者の金持ちは従来通りのユアンなのに対し、ハゲの小悪党のほうは、ただの間抜けなオッサンである。
ユアン・マクレガーとしては、新境地とも言えるくらいで、このハゲ、新鮮でなかなか面白い。
その相棒であるメアリー・エリザベス・ウィンステット(『ダイ・ハード4』、『デスプルーフ』、『10クローバーフィールドレーン』)は、ぶっちゃけ『赤ちゃん泥棒』のホリー・ハンターとは違うキャラだが、賢い行動派として、まるでダメなハゲの小悪党を支えるかみさんのようなもんだから、いいってことよ。
てか、よく、やたら、しくじるこのハゲの小悪党を「このハゲー!」と罵しらなかったなあ。


今回も田舎町にやってくる悪人として、デヴィッド・シューリス演じる謎めいた悪人がやってくるのだけど、シーズン1のマルヴォ(ビリー・ボブ・ソーントン)とは違った気持ち悪さで、独特の雰囲気を放ってくる。
まあ、それはいいんだけど、なに言ってるかよくわからないので、緊迫感は抜群であれど、理解に苦しむというか、めんどくさい男だ。


で、しっかり者の金持ちやハゲの小悪党カップルに気持ち悪い悪人や毎度お馴染み女性警官を中心に展開されるのだけど、今回は過去シーズンに比べたら、見劣りしていて、各人のボタンのかけ違えで予期せぬ展開に転がるのが『ファーゴ』で、それはいつも通りなんだけど、その絡ませが微妙というか、予想以上に早く中盤で某登場人物が死亡して、大きく本筋に絡んでこないのが、とても残念。


代わって、終盤からは、シーズン1の某登場人物が現れ、そこから一気に物語のテンションが加速していくのだけど、個人差には中盤で死んだ奴の負債を帳消しするほどの存在でもなかったなあ。


ところで、シーズン4が製作されたら、こんどは、『レディ・キラーズ』要素を入れてみたら、どうですか。
しっかり者のばばあが犯罪者たちを翻弄する話だから、『ファーゴ』と組み合わせるのには、ぴったりだとおもうんだけど。
なおき

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