Kaji

悪鬼のKajiのレビュー・感想・評価

悪鬼(2023年製作のドラマ)
4.5
ハマりました。
めちゃくちゃおもしろかった。


キムテリ俳優が感覚的で瞬発力があった情感表現を抑制して二面性あるキャラクターを演じたこともさることながら、新興財閥3世で民俗学教師で霊が見えるってトンデモ設定を知的な人物に昇華させたオジョンセ俳優が素晴らしい。


点在してた自殺事件にある共通項が重なり、悪鬼は誰なのか、なぜ悪鬼が憑いているのか、果たして封じられるのか、、。
塗り絵が埋まっていくような感覚のサスペンスだった。


悪鬼を作り出した人間、その人間の魂胆の軽薄さがいちばん怖いがとんでもない自己都合の権化となりサニョンが圧迫されていく息苦しさに同期しながら観ていた。
善良であろうとする努力よりも、自らを悪意で満たさないようにする努める営みは霊がつかなくとも遂行してる人がほとんどではないだろうか。
 未消化で未分化で非言語的な煩悶の沼でもがきながら、芯の部分の確からしさがよすがであるなら、このドラマが見せてくれるサニョンの強さはすごく励みになる。



韓国オカルトはヨンサンホ監督作のみならず、その呪術や風習の奥にある人の欲望にフォーカス当たっていくとこが好きで、今作はメンタルヘルスの問題を加味しながら、その人の芯へ向かう人物描写の真面目さがしっかりと物語を引っ張ってて見応えありました。黄金万能主義へのアンチテーゼも受け取った。
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