ソウキチ

BEEF/ビーフのソウキチのレビュー・感想・評価

BEEF/ビーフ(2023年製作のドラマ)
5.0
みんな大好きA24とNetflix製作で、『37セカンズ』のHIKARI監督も参加。A24作品に日本人監督が起用されてるだけでももっと話題になってもよさそうなものなのに、SNSも映画系メディアもそこまで盛り上がってる様子がない。

映画と配信シリーズの境い目が曖昧になってきている現在、膨大な映像コンテンツの中から確度の高い取捨選択をする為には、配信シリーズにアンテナを向けるのはもはや必須だと思う。映画だけを観ていたら映画の「今」を見過ごしてしまう。

『BEEF』はまさにそれを象徴するようなハイブリッドな作品だった。ビンジを促すドラマ然としたストーリーテリングもありつつ、演出や撮影はとても映画的。ネトフリの紹介文にも『パラサイト 半地下の家族』と『ホワイト・ロータス』が類似作として挙げられている。庶民の小規模な憤怒を原動力に駆動し、何もかもがダメな方向にしか進まない人間模様と、アメリカのバカ広い空と渇いた荒野のロケーションからどこかアルバカーキサーガの肌触りも思わせる。

「移民」と「格差」と「アンガーマネジメント」と「赦し」をテーマにした脚本は野心的ではあるものの、正直なところ上述の作品群ほどのキレ味には欠ける。しかしながらA24らしい視覚に直接くらう満足感と、30分枠のドラマでしか得られないカジュアルさが功を奏しとてもバランスのいいドラマでありました。
ソウキチ

ソウキチ