2年前のこと、対話で解決の糸口を見つけようとせず、怒りに取り憑かれた鬼のような50代がいた。声を荒らげて喚いてた。マジで子供やな、哀れやぁと感じてた。
私の周りにそんな20代はいない。村田沙耶香の『変容』に描かれていた、怒りの感情を持たない若者の話。喜怒哀楽の怒が無い人間、わたしも長年そうかと思ってた。例えば嫌なことをされたら、悲しくて残念で傷付くだけ。フツフツと込み上げてくるものは何もなく、スンスンと沈んでいく感じ。たぶん私は怒りの表現方法が分からなくて、そういう慣れてない心の行方は考えないように、または哀に擦り替える作業を無意識のうちにしてたのかなって。
あおり運転をされたら腹立つ、されたらやり返すという怒り起源の行動は、なんかあんまり現実味が無い。ダイレクトに怒を表現出来ていることが(私にとっては)あまりにもフィクションそのものでキラキラしていた。あの50代のように、怒りをコントロール出来ない状況は傍から見ると理解できひんけど、人間の大切な感情のひとつである。ゆえに少し羨ましいとまで最近は思う
