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初恋、ざらりのmulのネタバレレビュー・内容・結末

初恋、ざらり(2023年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

軽度知的障害の女性に焦点を当て、その女性自身の人生、そしてマジョリティ側にいる岡本さんとの恋愛も描いている。
正直なところ歳の差恋愛を描いた作品は個人的に敬遠しがちだけど、こちらの作品は気持ち悪さはあまり感じなかった。あまりにも年齢が離れていると、どうしても気持ち悪さを感じてしまうので…自分が生まれた時、この人は高校生だったんだ、成人していたんだと考えるだけで寒気がしてしまう…(あくまでも個人的な意見です。)

同時進行で原作も読んでみました。とてもリアルで生々しく、吐き気がするくらいきつい。軽度の知的障害でも“普通”の人とは違う、私は性的なことでしか役に立てないと洗脳されてしまう有紗の描写がかなり辛くなる。コンパニオンとして働いていた頃、レイプされるシーンは重苦しく、有紗のネガティブな感情や思考になった時、ドラマでは水の中にいるような音が流れてくるのは絶妙な演出だと思いました。溺れていくような、暗い海の底へと落ちていくような。レイプは犯罪。100%加害者が悪い。何も言ってこないから、と勝手に判断して相手の同意無しに性行為をしてはいけません。絶対に。

この作品をただの恋愛モノとして観てはいけないと思う。
ちゃんと何を問題提起されているかを理解しながら観るべきだと個人的に思う。“普通”とは何だろうと。

原作とは違う描写がドラマに追加されており、新たな視点で考えられる部分は面白かった。有紗の母が原作では物凄く淡白に描かれていたキャラクターだったのが、ドラマでは自分勝手だけど娘を想う母親である描写が良かったなとも思うし、障害を持つ子の親である立場や心理描写が詳しく描かれていたのもドラマならではの良さがあった。
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