スマイルすまでら

大奥のスマイルすまでらのネタバレレビュー・内容・結末

大奥(2024年製作のドラマ)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

俳優さんの演技は流石
劇伴がかっこいいから、サントラは必聴

スーパー時代劇のリブート作として見ると、ファンには嬉しい要素がいろいろと織り込まれていてなかなか楽しめる(お馴染みのモチーフがたくさん散りばめられていたり)

ラブストーリーとのことで、同じようにラブストーリーが描かれた2006年劇場版に似ている気がする
正室に主演を据えるシチュエーションは、2003年版を彷彿とさせる
(過去作と比較してみても面白いけど、新たな門出の作品として、純粋に楽しむほうがいいかも)


大奥史上もっとも切ないという触れ込みだったが、そこはイマイチそうは思えない仕上がりだったかな
ラストがイマイチ手優しいような気が

しかし、この先シリーズとして続くものの第一弾として捉えるならかなりの出来映えであることは間違いないと思う
なのでまたやってほしい


とにかく比喩表現が優れている
この作品はどうやら、第一話でちゃんと暗喩を理解すると作品に深みが増すように作られているようで
そこがわからないと、陳腐なレディコミ風大奥という評価に止まってしまうという、視聴者の視聴力が試される恐ろしい作品なのかもしれない


ストーリーそのものは、ひとつの物語としてのまとまりを感じづらく、何をしたいかがよくわからない
あれこれ詰め込みすぎて拗れてしまったような印象を受ける

しかし、用いている要素そのもののセンスはよくて、それぞれをうまく繋げられたらもっといい材料として機能したはず

もっと、思いっきりあっと言わせる名作になりえた気がしている
もったいない
きっとプロデュースの問題じゃないかと思う


定信ってキーパーソン扱いだったけど完全に蛇足だなと思える
余計な設定ひっさげて無理に出すよりかは、なんなら追加キャラとかでもよかったでしょ
メインストーリーのグダグダの原因が、そこに集約されてる気さえしてくる
基本は田沼一強でよかったと思う

女中たちの影が薄いのも残念
大奥なんだから、もっともっと女中たちを活躍させるようなアプローチは取れなかったんだろうか

一話一話の繋がりを感じづらくて、なんだかギクシャクしていた
大半のエピソードでカタルシスが得られない
広げられた風呂敷が、畳まれないまま何枚もほったらかしになっていく感じで、イライラが募る

第一話から印象的なシーンが矢継ぎ早に映されていたから、その伏線が一気に回収されたり、きっとどんでん返しもあったりしてと、最終回次第で面白くなる作品なのかと思ってた

たしかに暗喩は流石なんだけど、表向きのメインストーリーがおざなりな感じがして、脚本と演出の繋がりの薄さが惜しいなと思った

画面で視覚的にヒントがあるのかと思って毎週目を凝らして見ていたし、実際ヒントのようなものが撒かれていたのに、結局は丸投げされてしまったなと

なんだか狐につままれたような、無理やり感たっぷりで薄ら寒さすら感じる、打ち切りみたいな最終回だった

特に、浅野ゆう子さんの特別出演については、あまりリスペクト感じられなくて、なんだか粗末で扱いがひどくない?

そのへん、なにやら大人の事情で、宮舘くんの出番を増やすような脚本に途中で書き直したんじゃないかとか、ゴタゴタがあったんじゃないかと疑いたくなるレベル

なんだかプロデュースと本とディレクションの足並みが揃ってないような感じがす