欲を捨て年寄りらしい暮らしをするつもりだった元旗本の半兵衛だが、若い奈津を娶り、ますます盛んな日々を送っている。家督を譲った息子・新太郎も目付となり、日向家の用人として勝谷が面倒を見ているが、大殿・半兵衛と奈津の家で何くれとなく働くと同時に半兵衛と一緒に釣りなどを楽しんでいる。そんなある日、半兵衛はかつてともに陽明学を学んだ塾生仲間の田島と再会する。陽明学を信奉していた田島は、幕府が朱子学を奨励したため出世の道を閉ざされ御家中の職も失っていた。妻にも先立たれ、その死を自分が出世しなかったからだと自らを責める田島は、町人たちと長屋で食うにも困るような荒んだ生活を送っていた。田島を励まし立ち直らせようとする半兵衛だったが、田島に法外な家賃の値上げを迫り長屋から追い出そうする輩と遭遇する。手荒な男たちを追い返した半兵衛に長屋の住人たちは快哉を上げながらも、奉行所は何もしてくれないと嘆く。聞けば、北町奉行は半兵衛らと陽明学を学んでいた並木だとか。要領の良い並木はさっさと朱子学に鞍替えし、出世したらしい。勝谷の話によると、田島に立ち退きを迫っているのは地面取りで、ウラでは古道具屋の剥屋が動いているという。その剥屋の実態は古道具屋の名を借り、江戸で評判の品を買い占めては高値で売りつけたり、盗品をさばいたり…。さらには賭場まで仕切って儲けているという。地面取りでは半兵衛らが面倒を見ている小川村の土地も狙われていた。これは放ってはおけぬと半兵衛は藤兵衛に剥屋を調べるよう依頼する。そんな半兵衛のもとに耕書堂の蔦屋が訪ねてきた。小川村で見た半兵衛の絵が気に入ったという蔦屋は、吉原細見や黄表紙で絵を描いてほしいという。そういえば小川村で剥屋と一緒にいる蔦屋を見かけたような…。そんな蔦屋に不信感を抱いた半兵衛は申し出をあっさりと断る。長屋の住人が毒をあおって命を落とすという事件が続発した。