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Ticket to Heaven 天国へ行かない少年
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『Ticket to Heaven 天国へ行かない少年』のエピソード情報

第1話

第2話

第3話

第4話

第5話

第6話

『Ticket to Heaven 天国へ行かない少年』に投稿された感想・評価

4.0
12
掲載待ちしてた過去視聴BL作品を消化するべく、腐女子回しばらく続きます。



GMMの申し子Gemini×Fourth主演。監督は『A Tale of Thousand Stars』『Moonlight Chicken』『Last Twilight』でお馴染みノッパナッ監督。
はい。この組み合わせ、タイ腐民ならば期待するなって方が無理!
GMMラインナップ発表から首を長ーくして待ち、撮影開始、ティザー公開と散々焦らされ、ようやく本編!と思ったら全6話。え?6話?少なっ!!私こんなに待ってたんですけど!?期待値だけ12話分育ってますけど!?

で、肝心の中身。聖職者を目指す少年と、神を信じられなくなった少年が恋をする。この一文だけなら禁断の恋を描くBL。でも本作が問いかけるのは、もっと根深いものだった。
『神を信じる事』と『誰かを愛する事』は本当にどちらかを捨てなければ成立しないのか。信仰、家族、罪悪感、赦し、そして自分自身を愛する事。宗教という難しい題材を扱いながら、信仰そのものを悪者にしない。誰かを愛する事が何故罪になるのか。そんな問いを真正面から描いた作品。

舞台は1996年、カトリック系の全寮制学校。幼い頃に両親を亡くしたテーンラック。通称テーン(Fourth)は、正しく生きればいつか天国で両親に会えると信じ、聖職者を目指す模範生。祈り、学び、規律を守る。神への信仰が彼の人生そのもの。
そこへ転校してくるのがバース(Gemini)。反抗的で口も態度も悪い。神なんて信じない。というか、信じられなくなるだけの過去を抱えている。

そんな問題児の世話係を任されたのがテーン。はい、正反対の二人を強制的に接近させる学校側。素晴らしい人事配置。BL的には満点です。ありがとうございます。
最初は衝突する二人。でもバースはただの問題児じゃないし、テーンも神の教えだけに従う堅物じゃない。互いの意外な一面を知るうちに、少しずつ相手の孤独に触れていく。

半分こするロティ。ふざけ合う時間。何気ない視線。そしてバースが贈る小さな花。テーンは受け取る度にベッド脇へ花の絵を描き足していく。ちょっと待って。この愛情表現、可愛過ぎん!?花が一輪増える度、二人の間に言葉にしない『好き』が積もっていく。何これ。恋愛感情の可視化!?しかも手描き。尊くてこちらの心までお花畑。

そしてキス。この作品、好きになる瞬間を大袈裟に説明しない。気付いたら相手を見る時間が長くなっている。隣にいるのが当たり前になっている。触れた後に、その意味を考えてしまう。この小さな積み重ねが丁寧だから、たった一度のキスがとんでもなく重い。

普通の学園BLなら『やっとくっついたーー!』と歓喜するところ。でも本作では喜びと同時に不安が押し寄せる。何故なら、テーンにとって恋をする事はこれまで信じてきた人生を根底から揺るがす出来事だから。

Fourthの演技が本当に良い。好きな人と一緒にいると幸せ。なのに、その幸せを感じる自分が怖い。初めて芽生えた恋心を『喜び』より先に『罪』として受け取ってしまう。この矛盾を台詞以上に目で見せてくる。普段あんなに明るくて太陽みたいなFourthが、ここでは何とも儚い。

一方Geminiのバース。一見強気だけど、中身はずっと傷付いた子供。神を否定する言葉の裏には祈っても救われなかった過去がある。
滝で自身の過去を打ち明ける場面が好き。神を信じられないバースに、テーンは『神を信じろ』とは言わない。ただ彼の母親の為に祈ろうとする。
自分の信仰を押し付けず、自分に出来る方法で寄り添う。この子の信仰って本来こういうものなんだな、と。

そして後半。ここからが苦しい。好きだから近付きたいバースと、好きだからこそ踏み出せないテーン。もうこの二人、ただ恋愛してるだけなのに背負ってるものがデカ過ぎる!
BL観てるだけの私まで神学の試験受けてる気分。しかも問題が難し過ぎて全然解けん。

それにしてもGemini×Fourth。普段SNSでの二人を見ている人程、この作品には驚くと思う。Fourthはよく笑う、よく喋る、周囲まで巻き込む太陽みたいな子。
そしてGemini。黙って立っていればクール系イケメン。なのに喋り出すと大体様子がおかしい。Fourthと並ぶと更におかしい。何なのあの自由過ぎる生き物。
そんな二人が本作では、目が合うだけで苦しい。触れたらもっと苦しい。あの普段の二人、どこ行った!?

ちゃんとテーンとバースになっている。若さゆえの衝動も、相手を失う怖さも、好きだからこそ傷付けてしまう不器用さも見事に表現してる。

そして物語は単純な同性愛か信仰かという二択では終わらない。誰かを愛する事も、神を信じる事も、どちらかが間違いである必要はない。この難しい題材を、宗教そのものを否定せずに描いたノッパナッ監督。これをBLでやるってスゴいわ。
しかも同性同士の恋愛が今以上に生きづらかった1996年を舞台に、現代へと繋がる物語として描いているのも良い。

ただ、欲を言えば終盤は少し駆け足。これだけ重い葛藤を丁寧に描いてきたんだから、もう少し二人の時間を観たかった。全6話に必要なものが凝縮されていたのは確か。下手に恋敵を投入して無理矢理12話に引き延ばされるよりは良い。分かってる。分かってるんだけど。あと2話位くれ。あれだけ地獄の入口をウロウロさせられたんだから、こちら側にももう少し天国滞在時間をください。

タイトルの『Ticket to Heaven』も、観終わった後だと受け取り方が変わる。天国への切符って、死んだ後に使うものだけなんだろうか。誰かに決められた正しさの先ではなく、自分が愛する人と、自分らしく生きられる場所。そこだってその人にとっての『天国』なのかもしれない。

重い題材なのに、観終わって残ったのは絶望じゃない。これは単なる禁断の宗教BLではなく、自分の信じてきた世界が初恋によって揺らいだ少年が、愛と信仰の間で葛藤しながら、自分の人生を見つめ直す物語。
Gemini×Fourthの繊細な演技、ノッパナッ監督の信仰に対する敬意。その両方があったからこそ成立した作品だと思う。
良かった。待ってて良かった。

でも最後に一つだけ。テーンとバース、今度は何も隠さず、何も恐れず、ただ普通にデートしてる姿を見せてくれませんかね。こっちは6話かけて心の懺悔まで済ませたんですけど。

天国へのチケット、滞在延長でお願いします!
4.9
0
😭
🙏