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エピソード11
朝が来る
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ぐりこ

ぐりこ

「もっと強く」 茨木のり子 「詩集 対話」より もっと強く願っていいのだ わたしたちは明石の鯛がたべたいと もっと強く願っていいのだ わたしたちは幾種類ものジャムが いつも食卓にあるようにと もっと強く願っていいのだ わたしたちは朝日の射すあかるい台所が ほしいと すりきれた靴はあっさりとすて キュッと鳴る新しい靴の感触を もっとしばしば味わいたいと 秋 旅に出たひとがあれば ウィンクで送ってやればいいのだ なぜだろう 委縮することが生活なのだと おもいこんでしまった村と町 家々のひさしは上目づかいのまぶた おーい 小さな時計屋さん 猫背をのばし あなたは叫んでいいのだ 今年もついに土曜の鰻と会わなかったと おーい 小さな釣道具屋さん あなたは叫んでいいのだ 俺はまだ伊勢の海も見ていないと 女がほしければ奪うのもいいのだ 男がほしければ奪うのもいいのだ ああ わたしたちが もっともっと貧婪にならないかぎり なにごとも始まりはしないのだ。