ひれんじゃく

人間昆虫記のひれんじゃくのレビュー・感想・評価

人間昆虫記(2011年製作のドラマ)
3.8
井浦新さんを追いかけて!

原作には一切触れたことがなかったのと、もともと手塚治虫作品をあまり見たことがなかったので中々のエグさにおお…と思いながら見てた。寄生バチの羽化を見ているようなエグさ。何事もなく成長した蝶の蛹に小さな穴が空いてハチが飛び去っていくような。あとに残されたのは空っぽの蛹。文字通り一切を奪われ尽くした、死に満ちた蛹。

個人的には十枝子の性格と顔があんまり好みではなかったけども「自分自身がない」ゆえの空っぽさと「空き地の広さ」、周りの人々の「空間の豊かさ」の対比がとても良かった。趣味で絵を描いていることと水野さん推しだったことのダブルパンチで絵を盗作してデザインで賞を獲ったときのシーンで殺意がマックスになった。この野郎殺す、とマジの殺意を覚えた。大人気ない。そこまでのめり込ませる演技と演出が素晴らしい。

以下圧倒的水野贔屓で見た感想↓
お顔がよろしい。声がよろしい。ありがとうございました。手が綺麗すぎて口開けて見てた。多分他の出演作でも同じことを書くと思う。幸薄そうな顔なのは分かるんだけどいつかどっかの作品で幸せになってほし………今まで拝見した作品軒並み死ぬか不幸せになるかしかない…………幸せにしたい……………
水野さんは結局十枝子を完全に忘れることは出来なかったけど一方でしじみという別の存在を愛したことは確か。「何でも盗っていくといい。心だけは盗めない」ってところが痺れました。カァーーーーーカッコいい〜〜〜〜〜〜〜〜好き〜〜〜〜〜!!!一度何もかも盗られて捨てられたからこそ十枝子の空隙を見抜いたことで得た落ち着きなのでしょうか。仕事道具で殺人を犯すところも哀愁と興奮が混じり合ってて独特の雰囲気が出てましたね。あそこで唸るように言う「謝れ」の言葉と突き刺しながら迸る絶叫の声が好き。声がいい。
 どこまでも可哀想で可哀想で辛かったけども最後まで十枝子に肉を溶かし啜られる事なく凛としてて安心感が凄かったし他の人たちに彼の爪の垢を煎じて飲ませたい気持ちに。みんな落ち着いて。

古風な言葉遣いも好きでした。
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