岡田拓朗

Aではない君との岡田拓朗のレビュー・感想・評価

Aではない君と(2018年製作のドラマ)
3.7
Aではない君と

加害者か、被害者か、それとも、ふつうの少年か。

同級生を殺したと疑いをかけられ、沈黙を貫く少年を軸に、その少年を取り巻く家族や弁護士が真実を追求しながら、少年と向き合う過程、そしてその少年と家族が遺族や自身の罪にそれぞれが向き合っていく作品。

客観的な証拠や情報として、少年が殺したことを警察含め、周りの人は決めつけているが、親はそれを信じることができない。
自分の子どもが人を殺すなんてあり得ない。
それは信じることができないはずだ。

人を殺めてしまうその裏側には人それぞれのそこに至るまでのストーリーがあることを忘れてはならない。
その背景を何も知らないままに、行為だけでその人をただ罵ることは浅はかである。
何でそんなことができるだろうか。
もっと本質を、中身を、背景をちゃんと見てあげて欲しい。

他の作品とは視点が異なる今作の命題は、身体を殺すことと心を殺すことの重さ、人とそれ以外の動物の命の重さ、双方の比較。
どの重さも基準があるわけでもなく、測ることができない。
人によって、見る視点によって答えが変わるこの重すぎる命題に簡単に答えなんて出せるわけもなかった。
そんなときに親は、当人はどう向き合っていくのか。
今作は決して答えが出ないこの重たい問いを鑑賞者に委ねる形で突きつける。

誰に感情移入するかで被害者と加害者かが変わる。
さあ、あなたは誰に感情移入するでしょうか。
そんなことをも問われていたような気がした。
(ちなみに自分はこういうときに、全員に感情移入しようとするから頭の整理がつかなくなることが多い。)

P.S.
全体的に映像と脚本が似たような類いの他作品と比較してチープだったので、そこまでのめり込めなかったのが惜しい。
原作はもっと素晴らしいんだろうなーと。
キャストは豪華すぎる。
個人的には「友罪」の方が好み。
岡田拓朗

岡田拓朗