みかん

ヒトラーの建築家 アルベルト・シュペーアのみかんのレビュー・感想・評価

5.0
ヒトラーの建築家、アルベルト・シュペーアを中心に裁判とその後の刑務所の暮らしを描いたドラマ作品。
第一部では裁判の始まりとヒトラーとの出会いが交互に描かれ、ドキュメンタリーのように過去の実際の映像や関係者のインタビューも挿入される、少し目まぐるしい構成。
第二部はいよいよ裁判、ニュルンベルク裁判とシュパンダウ刑務所について軽く調べてから試聴するとより楽しめる作品だと思う。座席配置を調べておくと誰が誰か分かりやすかった。役者がみんな似てて凄い!記憶喪失のふり?をする少し変になってるヘスの挙動不審ぶりが可愛い。
第三部シュパンダウ刑務所での暮らしが一番楽しみにしていた部分。一つの刑務所にナチスの戦犯が7人という、狭い人間関係。
シュペーアの裁判での証言で反感を買い孤立していた様子、海軍二人にネチネチ言われる所など、狭い監獄で人間模様があったことが描かれている。
ヘスは相変わらずずっと様子がおかしいのが虚しい監獄暮らしの中でユーモラスに映る。
シュペーアのお子さんたちのインタビュー、戦争犯罪人となった父を持つ子供たちの、面会や手紙のしんどさが語られていて辛い。シュペーアの肖像画…
刑務所暮らしも後半はなんだかんだ緩くなってきて、雪の日に看守に雪玉を投げるシーンなどもはやおじいちゃんのグループホームかという微笑ましさがあった。
若い頃から年老いて出所までの長い時期を経てどんどん老いていく登場人物もリアルで、最後まで面白かった。
シュペーアの出所で話は終わっているが、ヘスはこの後たった一人で20年をシュパンダウ刑務所で過ごすことになる。広い部屋に移されて規則も大幅に緩くなったそうだが、93歳で死ぬまでどんな暮らしを送ったのか…好演だったので、そこも見たいと思ってしまった。
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