みや

トップキャスターのみやのネタバレレビュー・内容・結末

トップキャスター(2006年製作のドラマ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

【伝説のキャスター現る】

中盤までの展開はやや退屈ではあったが、特にラスト2話の完成度が高くかつ感動した。

 × × ×

CNBテレビの新しい報道番組『ザ・ニュース』のメインキャスターに就任した椿木春香(天海祐希)が次々と事件をスクープしていく一話完結のお仕事ドラマ。

ニュースはただ事件を扱うだけではなく、その裏側に隠された人の心を扱う仕事で、地図のない宝探しのようなものであることを信念としている椿木。

報道することで人の心を傷つけてしまうかもしれないという不安と覚悟を胸に、報道の在り方を問い続ける姿勢を本作で坂元裕二は描く。

また、その姿を傍で見てきたアシスタントの飛鳥望美(矢田亜希子)が成長し、椿木のような立派なニュースキャスターになっていく姿も共感できるだろう。

椿木
「飛鳥さんへ。わたし、またニューヨークへ行くことにしました。(中略)便箋が余っちゃったので、ちょっとだけ続けますね。3ヶ月前、日本に戻ってきた時、わたしはもう一度キャスターをやれる喜びで一杯でした。『ザ・ニュース』は1年、5年、10年、20年と力の限り続けるつもりでした。そのための最高の仲間もできた。だから、こんなことになってほんと言うと悔しい。めっちゃくちゃ悔しい。まだまだしたいことがたくさんあった。だけどね、わたしは今、それと同じだけ嬉しい気持ちで一杯です。飛鳥さん、あなたに出会えたことが。『ザ・ニュース』のみんなに出会えたことが。この世で一番の宝探しは人との出会いだと思った。あなたと過ごした3ヶ月をわたしは忘れない。絶対に忘れない。迷ったらやってみる。不安だったら飛び込んでみる。怖かったら走ってみる。わたしたちさぁ、走ったねぇ。ありがとう。元気で。椿木春香」

椿木から望美に宛てた手紙の文章である。

最終的に自局のスキャンダルを報じたことで自身の契約を切られ、番組は放送からたった3カ月で終了してしまう。

加えて、それは椿木にとって特別な存在である結城雅人(谷原章介)の身内を逮捕に追い込んでしまう結果になってしまったが、『ザ・ニュース』のメンバーは最後まで報道マンとしての矜持を示して見せた。

本作では強くて型破りな人物としてあまり自らの心情を漏らすことのなかった椿木だが、共にバディとして二人三脚で歩んできた望美に対して、手紙で想いを綴らせるところが実に坂元裕二らしい。

また、結城が8年前に携帯電話の伝言メモに残したメッセージという形で椿木への愛を表現するという展開も胸を刺す。
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