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牡丹と薔薇のnorisのレビュー・感想・評価

牡丹と薔薇(2004年製作のドラマ)
4.0

再放送開始が昨年の4月、予定通り1年以上をかけて全60回が完結した。週5回の本放送(2005年)をあえて週1で再放送したのはほとんどTVKの暴挙と言えるが、それでも大半の視聴者は最後まで堪能したはずである。

並行して昨冬話題を呼んだ「新・牡丹と薔薇」は、姉妹が二人だけで山荘で暮らす静かな結末と中村彰一の暢気な挿入歌を引き継ぎ、どぎつい台詞の濃度でリメイク元を凌ぐかに見せたが、回数が2/3と少ない分、やはり物足りない印象に終わった。間延びではなく充実を実現したのはやはり#小澤真珠 の力である。

序盤(といっても週1では2ヶ月ほど要したのだが)、川上麻衣子が神保悟志に追いつめられてネクタイピンを飲み込み、後日排泄したのを「私が産んだ」と主張するくだりで、すでにドラマは正常の閾値を超えた。童顔の川上はその後も大して老けないまま、ヒロイン二人を二人の子役が演じるやや退屈な序盤の後半を、後ろめたい過去(などという一言で片付けがたい、とんでもない過去なのだが)をもつ日蔭の女として生き、いよいよ#大河内奈々子 と小澤が登場して大分経ってから、病魔に倒れ、危篤の身で病院を脱走した挙句、すべての秘密を長々と暴露して息絶える。

この川上や神保ばかりではない。小澤のキレ演技(「きぃぃぃぃぃっ‼︎」なんて台詞を現実に口にする女はいない)ばかりが注目されるが、神保の妻・北原佐和子、大河内を妾にするくせに不能の峰岸徹、(自分の代わりに)「加代と結婚してやって」と頼まれて戸惑いながらも結局言われた通りにして災厄を招く西村和彦など、登場人物は全員くるっている。異常に多い台詞と目にもとまらぬテンポで、見る側の反芻が追いつかないことしばしばだった。まさに昼ドラジャンルの金字塔と言える傑作である。
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