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ハウス・オブ・カード 野望の階段 シーズン5のsukashigokeのレビュー・感想・評価

2.7
やはり現実世界のアメリカが'16年の大統領選挙を経てフィクションを超越してしまったことで、ドラマ自体が破綻してしまったのは自明の理だったのか。ボー・ウィリモンの降板により脚本は目に見えて勢いが衰え、構成も粗が目立つ。事前に公開されていた予告編は来るべき不穏なシーズンへの期待を膨らますという意味では完璧といっても良い出来だっただけに、落胆も大きい。
アンダーウッド夫妻の妨害工作はさらに露骨なものになり、主人公補正がかかった都合の良い展開の連続には辟易させられる。とうとうホワイトハウス内でも堂々と人を殺め、それが通用してしまうようになった辺りは荒唐無稽すぎて流石に萎えた。前シーズンで強敵として立ちはだかったコンウェイの後付け的な理由による弱体化など、腑に落ちない点も多い。

ただ、ep3のラストで、夫妻がワイルダー『深夜の告白』の台詞を復唱するシークエンスには痺れた。惨憺たる出来だった今シーズンでも構図、演出ともに最も優れていて、印象に残る場面だったと思う。
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