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恋のスケッチ~応答せよ1988~のBamuのレビュー・感想・評価

恋のスケッチ~応答せよ1988~(2015年製作のドラマ)
5.0
「ようやく母を慰める歳になった時には、
すでにありがとう、愛してる、という言葉を口にするにはあまりにも物心がついてしまった後である。
今母を喜ばせたいなら、
ただ、今お母さんが必要ですと。
その一言で十分だ。」


「幼いころうちにはスーパーマンが住んでいた。彼は直せないものなどない冒険野郎マクガイバーであり、どこかで誰かになにか起きれば現れては全て解決してくれるアストロガンガーであり、弱い姿など見つけることもできないヒーローの中のヒーロであった。でも世間知らずを抜け出した後でようやく知った。ただばれなかっただけ、スーパーマンも人間だったことを。
どれほどたくさんの汚くて、ずるくて、腹の立つ、悲しくて、怖くて、辛い世界が父親の前を過ぎ去っていったのかを。
 そしてようやく気づいた。汚く、ずるく、腹が立ち、悲しく、辛くても気丈に耐え抜いてきた理由は、守らなければならない人たちがいるからだということを。家族がいて、私がいたからだということを。他の誰でもない父という名前で生きていかなければいけなかったからだということを。」


「その時代が恋しいのは、あの街が恋しいのは、より若かった自分に会いたいからではない。
そこに父の青春が、母の青春が、友人たちの青春が、私も愛するすべての青春があるからだ。もう、ひとつに集めることのできないあの風景へ最後の挨拶さえできなかったことが残念だからだ。」
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