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照柿のnorisのレビュー・感想・評価

照柿(1995年製作のドラマ)
4.0
合田雄一郎ものの2作目で、1作目の「マークスの山」と3作目の「レディジョーカー」は上川達也(映画は中井貴一と徳重聡)だが、本作は三浦友和。

警視庁捜査一課の警部補だった合田は、本作で被疑者の自白強要をヤクザに依頼したり(100万も私財を投げ打っている)、捜査情報を悪用して友人を左遷させようとしたり、一目惚れした事件関係者(これが田中裕子)と昼下がりの名画座(大島渚の「少年」がかかっている)でよろしくやったりと問題行動を連発したかどで所轄大森署に左遷、「レディージョーカー」では一介の刑事のままなのだが、のちに猛勉して警視庁国際捜査課の警部に昇進する。本作はまさに「堕落の森」をさまよう趣で、これは三浦友和でなければできなかっただろう。

登場人物は三浦と田中、そして野口五郎で、三者とも意思疎通が頑なにすぎる人たちなので、めちゃくちゃ重苦しい。8月の猛暑、それも拝島の熱処理工場とか大阪とかロケ地も暑苦しく、画面はずっと鬱々としていた。全3回を見通すのは体力を要する。

田中裕子のファムファタルぶりは息をのむばかりで、三浦友和や野口五郎ならずとも身を滅ぼしかねない危険な演技。それにしても野口五郎は大変な熱演だった。あと、殺される画廊オーナーを癖のある藤田敏八が演じていた。
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