武倉悠樹

サバイバー シーズン1の武倉悠樹のレビュー・感想・評価

サバイバー シーズン1(2016年製作のドラマ)
3.0
 S1E8辺りまで。政権周りの権力闘争と言う点だろうか。映画「フロントランナー」の公開を前に、この作品を参照項に挙げている人が居たので、なんとなく見てみた。

 フィクションの妙とは、いかに、現実から面白く離れたifを作り出すか。そして、そのifに説得力を持たせ、観るものを引き付けるか、だと思うのだけど、それが巧く出来ていないと言うのが総論。
 
 モチーフになっているのは指定生存者と言うアメリカの政治制度の中にある特異な制度。これは、合衆国首脳が一堂に会する、一般教書演説において、もしテロ等に襲われても、政治的な空白を生まないために、大統領継承権を持つ役職の人間を政治的なイベントから遠ざけて待機させておくと言う物。
 主人公、トーマス・カークマンはまさにその指定生存者に選ばれた下位閣僚。大統領始め閣僚、判事、上院下院の議員がほぼのこらず死ぬと言うとてつもないテロに見舞われ、避難し混乱する中で、あれよあれよと手続きが済み、未曽有の事態に陥るアメリカを率いてくことになると言う第一話の引きはかなり凄い。うわ、これ、どうなるんだと前のめりになる。
 
 しかし期待していたifが展開されないがっかり感が以降段々と顕わになる。
 設定に対しての、作りこみが浅い。まず、1000人規模、しかもアメリカの中枢を残らず皆殺しにする様なテロに対し911以来の悲劇みたいな言い方をする時点で?マーク。こんなもん、有史以来類を見ない超ド級の事件であって、そんじょそこらのifストーリーなんてもんじゃない。混乱するアメリカをよそに、チャンスとばかりにイランがホルムズ海峡で軍事的示威行為みたいなのを仕掛けてきて、それへの判断がカークマンの最初の大仕事になるわけだけど、そんな状態のアメリカにんなことしたら核ミサイル撃たれても文句言えない。冷戦時代のソ連だってしないだろう。速攻で第三次世界大戦に突入するわ。リアリティが全然ない。

 せっかくの政治サスペンスなのに徹頭徹尾そんな感じ。
 下位閣僚だったことや、テロの少し前、内閣内の政治ゲームの煽りを受けその地位も罷免されそうになっていたことがリークされ、大統領資格が無いのではと糾弾されたりもするのだけど、その時点で、中央政府の公的な政治権力者はカークマンと下院議員一人のみ。裁判官判事すら一人もいない状態で、どうやって大統領を罷免すると言うのか。下院が訴追し、上院が裁判する事が規定の弾劾裁判が開けるような状態じゃない。
 
 わかりやすく言えば、アメリカ政治版シン・ゴジラが見たかったわけで、端からそんなもん提示する気はなかったよと言われれば、not for meでしたって話なんだけどさ。