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The Sinner -隠された理由- シーズン3のESRのレビュー・感想・評価

3.3
過去2シーズンと同様1話で事件が発生し、犯人はなぜ、どのように犯行に至ったのか迫っていく。
しかし、シーズン3ではそこは本題ではなく、容疑者で、潜在的な犯罪者であるジェイミーの人格と、彼に深入りしていくアンブローズにフォーカスされる。

ジェイミーの口から吐露される、男性に向けられる社会的な期待へのプレッシャー、それを演じてしまう自分の辛さ。自分が自分にかけている呪いのように彼自身を苦しめる。
彼が生徒に接するときの一見誠実に見えて、どこか空虚な振る舞いにも合点がいく。
ジェイミーを演じるマッド・ボマーのカリスマ性がシーズン3全体を引っ張っていく。個人的に彼はすべての面でというわけではないが共感できるキャラクターだった。

ミステリーやサスペンスにおいて、作り手は、フェアであること、犯行の動機や手口、登場人物の行動に一定の説得力があることを求められる。
視聴側としては、それに対してどこを、またはどこまで許容できるか。
このドラマに関しては、黒に近いグレーであると認識していながら、証拠不十分でジェイミーが野放しにされていたこと、ジェイミーに呼び出されて、(人質になっていた孫の身を案じたとはいえ)一人でのこのこジェイミーの待つ自宅へ向かったアンブローズの行動。この辺りを許容できるかどうかで評価は変わってきそう。

自分は、冒頭の通りこれらは本質ではなく、その先のジェイミーとアンブローズの関係から、両者の性根を炙り出したいのだろうという理解のもと、上記2点については許容できた。
ただし、身の蓋もないことを言うと、シーズン1からこのアンブローズという定年間近の刑事を掘り下げることにあまり興味がなく、事件そのものの面白さを求めているという意味では、自分とはミスマッチな作りだった。
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