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望郷のnorisのレビュー・感想・評価

望郷(2016年製作のドラマ)
3.8
昨日書の平棚で「湊かなえ原点回帰」という帯コピーが躍っているのが一瞬視界に入り、そうだよねえ、やっぱりここで稼いでおかないと、と思ったのだったが、熱心な読者でもない私も、榮倉奈々の「Nのために」は欠かさずに見ていたから、温暖な瀬戸内海の島でのドロドロ暮らしに対するこの作家のルサンチマンをよく知っている。

本作はその島を舞台にした3話のオムニバスで(原作は6話ある)、風来坊と駆け落ちして島を捨てた水野真紀 、行方不明の家長を諦めずに捜索し続ける母子家庭に心を寄せる椎名桔平 、成功したミュージシャンとして嫌々帰郷した濱田岳 などが登場する(ヒロスエ は水野真紀の妹)。いずれも15年、20年と止められていた時間が動き出す話で、まさに作家の恨み節が全開している感がある。
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