個人的には、連ドラよりもこちらのSPドラマの方に、コメディとしてもラブストーリーとしても、軍配が上がるように思う。
確かに、同性愛を完全にギャグとファンタジーに描いた連ドラには、独自の面白さやキャラクターの魅力がある。だが同性愛よりも、「可愛いおじさんたち」「迫り来るイケメン」という「萌え」に徹したという印象だ。ともすれば、同性愛を恋愛の一つの在り方として真摯に描いたのは、こちらのSPドラマではないだろうか。
SPドラマでは、春田や職場の人々は、同性愛に対する無神経さが全開である。その点で、ショックを感じたり、主人公に不快感を覚える人もいるのかもしれない。でも私には、性別の問題に葛藤しながらも、「愛」の可能性の広さに気が付いていく本作の春田の方に、遥かに好感を抱いた。自分を愛してくれる全ての人に対してなあなあな連ドラの春田よりも遥かに、である。
同性愛の描き方は、SPドラマと連ドラで180度違うと言っていいだろう。ギャグとファンタジーで同性愛をぼやかした連ドラは万人受けするし、それはそれで巧みだ。しかしこの脚本家はどんな思いで180度異なる作品を描いたのだろうか。
たった一話分の短い時間で、何が「愛」の形を決めるのか、というところまでいった本作も、ドラマに勝るとも劣らない評価に値すると思うし、評価されるべきである。
