赤鬼

アンビリーバブル たった1つの真実の赤鬼のレビュー・感想・評価

4.4
実在のしかもヘビーな事件を扱う作品を観た時、素晴らしさに震える作品はどれも"この事件をなんとしても風化されてたまるか"と言う作り手達の執念さえ感じるジャーナリズムを勝手に感じ、自分もグレースとカレンの様な人間になりたいと強く感じると同時に、女性としてもし今妊娠したらこんな世界に子供を産み落とす事になるのか私は…と怖くて怖くて堪らなくなる。マリーを信じられない周りの人達同様、私も近くにいたらこんな態度をとってしまうかも知れない申し訳なさや不甲斐なさ、そして自分がマリーになる可能性に怖くて固まってしまう自分がいる。
あのラストが全ての人に対して100点満点では無いのは理解出来るけど、彼女がほんの少しでも彼女自身の人生を取り戻そうと諦めなかった事が私には救いだった。電話越しじゃないと感謝を伝えられないだろう彼女のいじらしさがただただ愛おしくて、そう言う気持ちを持てるだけで私にはこの作品を観た意味があったと思えたから。
残念ながらゴールデングローブでは無冠に終わったけど、良作がひしめき合う中でノミネートされた今作がとても誇らしくもある。
赤鬼

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