七彩

愛の不時着の七彩のネタバレレビュー・内容・結末

愛の不時着(2019年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

これだけ流行ったし、やっぱり2020年内に観ておこう...と思い滑り込み鑑賞。結論、めちゃくちゃ面白かった!いいところがたくさんあるので、その中でも良かった点を書いていきます。

まず、セリが北朝鮮の人々やその暮らしぶりなどを絶対に見下さないところが良かった。生まれた時からお金持ちである程度傲慢な性格のお嬢様という設定で、『北朝鮮には何もないから』『貧しい』『可哀想』という言葉を言わせないところに、たとえフィクションでも一線を引くという制作陣の意思が感じられた。暮らしぶりなどは選べないしどうすることも出来ない上に、実際にその生活を営んでいる人がいるわけで、そこへの侮辱が一切にない。リスペクトと配慮が伝わって良い気持ちで鑑賞できた。

そして一貫して描かなかった要素が、このドラマで最も良いポイントになっていたのだけれど、それが『血の繋がりが絆に直結する』という点だった。『血の繋がった人間が最終的に一番信頼できるひと』という形を最初から最後まで描かずにハッピーエンドで終わらせたこのドラマは、多くの人を救ったと思う。実際セリは救われた。セリを陥れたのは実の兄で、セリを救ったのは最初は他人の存在であったジョンヒョクや5中隊の仲間や村の人々だった。また、最初はセリを捨てたけれど、心の底からセリを思っていたのは生みの親ではない母親だった。どんなに血が繋がっていても悪い人はいることと、自分を心から思ってくれる理由に血の繋がりはいらないと証明してくれた。

"血の繋がり"という変えられない事実を重視せずにストーリーを展開させるからこそ、キャラクターに厚みと自立性が増してよりキャラクター同士の内面や関係性が引き立って物語が面白くなる.....ドラマオタクの一番好きな見どころ『関係性』にフォーカスした脚本は大成功だった。

また振り返ってみてみると、このドラマの図はいちいち新しかったと思う。セリが自分で車(しかもゴツめの最新車)を運転して行動するところや、好きな男性のために女性が復讐をするところ、女性同士の純粋な結託など、定番のシュチュエーションを男女逆で演じさせていて目新して良かった。

まだまだたくさん好きなところはあるし、全体的にシリアスとコメディのタイミングが上手くてそれだけでも面白かったけれど、いくつもの要素を入れて展開させていった脚本は素晴らしかった!
七彩

七彩