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東宮~永遠の記憶に眠る愛~のchipeのレビュー・感想・評価

東宮~永遠の記憶に眠る愛~(2019年製作のドラマ)
5.0
承鄞の母の玉瑶、明月、そして小楓は似た運命である。

あまりにも悲しい話で、実母の一族滅亡の復讐の為に後に愛する人の祖父と、その国を滅ぼした。
(2兄の策略で)命を失いかけた第5皇太子は、美しい西州の九公女小楓により救われる。2人は交流するうちにいつしか愛し合ってしまう。
しかし承鄞は茶館の息子と身分を偽り、小楓のお陰もあり祖父が治める国、丹蚩を見つけ、小楓の目の前で祖父を殺害するのだ。

小楓は自分を責め、それでも承鄞を憎みきれず、全ての情を忘れられるという川、忘川に身を投げるとこから更なる悲劇が始まる。

承鄞は皇太子になり、小楓は逃げ足掻いてみるが、政略結婚として皇太子妃となった。

承鄞は東宮で小楓を守ろうとしが方法が間違っていた。
承鄞に冷遇され常に悪者にされ、東宮内では夫は側妃しかまもらず、誰にも気にもかけられないお飾りの孤独な存在だと傷付き、段々と快活さを失い、憂いを帯びたていく。
承鄞は、原作の小説ではもっと残酷らしいので日本語版が出たら是非読んでみたい。

愛した人は自分を騙し、母を自害に追い込み父親を壊しされたなら、私はそんな男を愛していても信じられないし命を断とうとする気持ちに共感する。
まぁ、嫁ぐ年齢設定が16歳くらいだからその年齢らしい情緒の危うさ、我儘で自分勝手な部分もヒロインはあるが不幸である。

何故か承鄞まで一緒に落ちて彼も全て忘れる。男には是非一生忘れんで欲しかった。人は自分に都合の悪いことは忘れがちだし
そんな残酷な記憶を取り戻したのは皇太子妃が先で、耐えられず命を断とうと飛び降りるがアドゥが危機一髪で救う。

互いの国が戦を行うことを知り、小楓は自分が西州に戻ってきたことで引き起こしたと悩み、それを見ているアドゥは、皇太子妃の為に陰謀を企てた高を殺して亡くなる。

ただ1人の唯一の理解者で寄り添って生きてきた護衛のアドゥを失った小楓は決断し、戦を開始しようと向かい合う兄の軍と皇太子の軍の間に現れ、皇太子にずっと生きていけと言葉を残して自害する。
愛していたからこそ許せず、国を守る為には妃として過ごさなければならない苦悩とアドゥを失った故に出した結果だろう。

皇太子妃は最後まで賢く、強く、孤独に、最後まで愛にゆれず苦悩して、自分の命を賭けてまで互いの国を守った。愛した人に家族を殺されたら、どんなに耐えても一緒には居られないだろう。

皇太子は皇帝となったが、全てを全うし譲位した後、愛した人は実は生きていると思い砂漠を流離う旅に出る。多すぎる代償を背負い散ったヒロイン。
愛する人を代償に地位を手に入れヒロインを失った皇帝は因果応報であり、胸糞であった。

ちなみに、もう1人小楓を愛する裏切り者がいるが、師父はストーカーとなって見守っているのも見所である。
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