幼い娘はHIV感染していて、おじいちゃんは認知症。コン・ヒョジンさん演じるシングルマザーはそんな大変な状況なのに悲壮さを感じさせません。健気という言葉とも違う。恨んだりもせずに離島の小さな村で生きるためにやれることをやっている。
そこに流れ者のようにやってくるのが元御曹司で医者のチャン・ヒョクさん。除隊後すぐの作品ですが、恋人に死なれて世捨て人のようになっているキャラクターと世間から隔離されていた彼の状況がマッチしていて、演技以上のリアルを感じることができました。除隊後の俳優はいい仕事をする傾向があると思いますが、ほんとこのドラマのヒョクさんは最高です。
この2人の間に恋愛というよりも人間愛に近い絆が生まれて行く様子は、ゆっくりと春が訪れるイメージです。（ちなみに娘の名前は韓国語で春です。）
全編ゆるやかな流れながら、胸をかきむしられるような展開もあり、視聴後は気持ちの良い余韻が残ります。
何度見返してもディテールに破綻がなく、こういうドラマが本当の傑作というのでしょう。
