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おかえりモネのakのレビュー・感想・評価

おかえりモネ(2021年製作のドラマ)
4.0
「役に立ちたい」というZ世代的価値観とタイムリーであり、それとも関係がある気候変動がテーマである作品だっと思っていた。「役に立ちたい」という思いは多くの若者が直面する課題だと考えている。役に立つ為には能力がなければならないし、それに見合った報酬を期待してしまう。特に役に立つことと感謝されることのジレンマは百音が何度も直面することになる。相手から認められことによって自分の存在意義が認めてもらった気になってしまう。しかし、自然のモチーフと重ねてサヤカさんは役に立たないものなんてないと言ってくれる。そこにいるだけでいいのだ。現代に必要な価値観であるし、東京から来た大学生の水野さんがそれを体現してくれた。人に感謝されることは中毒性があり、感謝されることが役に立つこととは限らない。このようなジレンマと人々はずっと向き合わなければならないのであろう。

百音と菅波は『G線上のあなたと私』と『きのう、何食べた?』を描いてきた安達先生だからこそ描きたかった愛の形だったのだと思う。恋愛の優先軸が低い二人が作り上げる愛の形は世間一般でイメージされる恋愛の形とは全然違うが、オルタナティブな愛で素晴らしかった。時間も距離も関係なのいのだ。すーちゃん達の恋愛もこのような形の一種だろう。

モネが気仙沼に戻ってきてから、彼女は人々の傷を癒すことに注力する。やりすぎな一面もあることは否定できない。しかし、みーちゃんとモネが抱き合ったシーンを自然の中の一部のようにとったカット(119回)が表象しているように、人々の思いも自然と同じように循環しているのではと思った。一人だけが幸せになったりすることはできないのである。だから、対話が重要になり、痛いところを撫でるのである。傷を見せることが全て正しいとも思わないが、自己開示することで解決する側面もやはり否定できない。勿論、時間をかけることも重要だ。菅波が在宅医療を人々が迷う時間を伸ばすためと納得したように。

安達先生は耕治や『大切なことはすべて君が教えくれた』の剛力彩芽がやっていた役のようにポジティブであることの意義を主張しているように感じる。
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