ラララプソディー

ヒーローを作った男 石ノ森章太郎物語のラララプソディーのレビュー・感想・評価

3.7
 面白かったです。何年も前の24時間テレビのスペシャルドラマを、とってのこしたまま見られてなかったので、ようやく見ました。
 主人公の石森先生を演じる健人くんはいわゆる専属の俳優さんではないですが、浮くことなくしっかり主演を演じてらしてよかったと思います。赤塚先生役の林くんがやはりとても上手くて、というかトキワ荘のみなさん演技の上手い方々というか、自然な方々が多くて、とても親しみやすかったです。

 恥ずかしながら石森先生の半生を知らないので、どの程度きちんと再現されたドラマなのかはわからないのですが、どの出会いも経験も素晴らしく作品に還元なさっていて、よいなぁと感じました。
 後半、問題の姉さんのシーンは、涙なくしてみられないのではないかと思います。背中のことも映画のことも、現実だからこそ本当にそういうことがあるよなそうだよな…と思いながら見ていました。悔やむしかない事実です。

 海外への逃亡や、家族からの愛で生まれた作品、キャラクターなど、ドラマのようにとんとん拍子だったかどうかは別として、すべて漫画につながってるところが、私が知る限りの石森先生らしいなと感じました。
 個人的には奥さんへの感謝もドラマ中に挟んで欲しかったなと思うのですが…奥さん…。可能であればお父様との邂逅シーンも欲しかったですが、最後の書店でのシーンがすべてを伝えていて、なおかつどんな父でもそばに母があるというバランスがすばらしい夫婦だなと思いました。

 24時間テレビのスペシャルドラマなので、再放送されることはないと思いますが、色んな世代の方々がみても楽しめるドラマになってるなと思いました。
 仮面ライダーの生まれる瞬間があんな感じだったのかなと思うと、これだから漫画は面白いよなぁと思わざるをえませんでした。

 主題歌などはなかったのでその点は寂しかったですが、よいドラマだなと思いました。やはりなんと言っても健人くんと林くんの橋の上でのシーンが素晴らしかったです。