邦題は「天使の報酬〜愛と野望の果てに〜」。
どこをどうしたらそうなるのか。どいつが天使で何が報酬だか。

ドロドロの復讐譚かと思いきやメロドラマである。大手食品メーカー・サンドゥルガンを舞台に、複数の男女の愛憎入り乱れる群像劇といえば聞こえはいいが、だいぶとっ散らかっている。

後継者争いを繰り広げる専務ナムギと常務ファギョン（サンドゥルガン会長の子供たち。異母兄妹）、常務の陰謀に巻き込まれ別離を余儀なくされたヒロイン・ギョンジュと、その恋人ソヌ。この4人を軸にしたメインストーリーに、サンドゥルガン社長とギョンジュ母、社長の息子ヒョンスとギョンジュの妹ギョンミの恋愛がサイドストーリーとして彩りを添える。
前半はヒョンスとその元恋人ジョンミンのごたごたもあったりする。このジョンミンという女性が超弩級のメンヘラでかなり強烈。振り回されつつ未練を断ち切れないヒョンスとの共依存的な関係性は、苛々するが見応えがある。

中盤以降、人生を壊した陰謀の黒幕がファギョンであると知ったソヌは、彼女の恋心を利用し婚約者として懐に入り込む。復讐のために近づいたはずだが、何かを企んでいる顔をするだけで結局何もしない。

どうやら100話越えだったものが視聴率低迷により69話打ち切りになったらしく、本来60話あたりから復讐劇に転じる予定だった可能性はある。
おそらく数十話を費やすはずだったであろう復讐ターンは、最終話のラスト5分ぐらいに凝縮されていた。その端折り方たるや裾を襟元に持ってくるかの如くであり、衝撃的な結末も相まって、たいへん味わい深かった。

そもそも無意味かつ不要で無駄なシーンが山のようにあり、遊んでないで必要なエピソードのみで構成し直せば、69話で十分プロットを消化しお釣りが来たであろう。が、そんなことをしたらこのドラマの良さは半減してしまうので難しいところではある。

とにかくほとばしるB級感が最大の魅力。
脈絡のないコミカル演出、場違いなファッション、センス異次元のチープなインテリア。大豪邸で部屋が有り余ってるはずの会長宅で、調度品をぎゅうぎゅうに詰め込んだ8畳ほどのダイニングキッチン（！）で窮屈そうに食事するシーンが好きだった。

YouTubeの衛星劇場チャンネルに、このドラマの予告（の体を成さないイメージビデオのような）動画があり、これがとても面白い。
断片的なシーンにパンチの効いたフレーズが被さり、ストーリーは皆目わからず、主演と謳われているキムドンウクは主演ではない。
使用されているシーンはごく序盤のものばかりで、最後までろくに観ずに作ったのではという気さえする。

どえらい長文になってしまった。誰が読むのか。