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逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!のくまのレビュー・感想・評価

3.6
前半は素晴らしかった。フェミニズム的な視点を持たせつつ、「不器用な独身男に綺麗な女性が思いをよせる」というドリーム感は残し、更にLGBTにも触れることで、全主体が楽しめる、「ガンバレ人類!」を銘打つに相応しい作品になっていると感じた。
しかし、後半は作り手のメッセージ性を感じすぎて冷めてしまった。MIU404も最後はコロナに着地させていたし、野木亜紀子さんはやはり今の現実を描きたい作家なのだと思う。だが、この「また会える日を信じて前を向け」というメッセージは、あまりにも使い古されすぎて寒い気がしてしまった。ステイホームの現状に馴れきって、自堕落になってしまった、もしくは、ずっとマスクをつけていて良い、人に会わなくて良い現状に安心感を覚えるような人間をも応援する器は、この作品には無いのかも知れない。「会える」ことを絶対的な善として、その状態に戻ることを望む人間のみを応援するのなら、「ガンバレ人類!」を謳うのは違う気がしてしまった。
番組終了後にTBS Newsで「緊急事態宣言要請」のニュースが始まったのは、フィクションが現実に帰結した感じがあり面白かった。
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