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ここは今から倫理です。のchomoのレビュー・感想・評価

ここは今から倫理です。(2021年製作のドラマ)
5.0
高校倫理担当の高柳先生が、生徒の悩みを解消するお手伝いをするドラマ。

#1
男子高校生から性行為を強要され、悩んでいる女子生徒の話。
この時代には、心に傷を負った女子生徒を慰めるために背中をさすってやることさえセクハラとみなされる、というセリフがあって、考えさせられた。
クールな高柳先生の雰囲気のなかで、現場に勢いよく踏み込むシーンは意外だったけど、力で女子を抑え込もうとする男子生徒に対しては、制圧する意味合いを持たせる必要があったのだろう。
個人的には、高柳先生が喫煙者になったきっかけがちょっと良かった。自分は非喫煙者だけど、愛煙家友人とよく喫煙所コミュニティーに行っていたので気持ちはわかる。

#2
どの授業でも時間中ずっと寝ている男子生徒の話。
なにか病気なのか、と思いながら見ていたら、夜遊びに毎晩繰り出しているのが理由というプチ不良くん。
「(悩みを聞く、と個人的にケータイ番号を教えて)一度でもイタ電したらその後は取り合わないです」とピシャリ。
そこからの解決方法が鮮やか!
プチ不良君の身の回りの色が黄色で囲まれていたのが気になって、ネットで「深層心理 黄色」で検索したら、「賑わい、注意、イライラ」と出てきて、なるほどと思った。
好きな食べ物も黄色を連想させるプリンだったから、ただ単に黄色が好きなのかも(笑)
それにしても、学園ドラマにありがちな過干渉な感じはない上に、一回30分が詰め込みすぎということもなく、すごく見やすくまとまっていて、あっという間に観てしまう。次回も楽しみ。

#3
今回は同僚男性教員も絡んで、生徒と教員の恋愛はあり得るか?という話。
教員からの相談事にも案外突き放さない高柳先生。
「それは本当に愛情なのか?それとも性的欲求なのか?」とぴしゃり。
ドラマでここまで踏み込んだ問いかけって衝撃的。でもそれがこのドラマの良さなんだと思う。

#4
突然学校に来なくなった男子生徒。
誰も連絡がつかず、行方知れず。
そんななか、思い当たる節があると飛び出していく高柳先生。
男子生徒は、兄に利用され、悪の世界に片足を踏み入れてしまっていた…。
逃げた兄に替わって、半グレ集団に囲まれる男子生徒を助けたのは、ジュダと名乗る男性だった。ジュダもタダで助けたわけではないようで…というストーリー。
今回はちょっと無理やり30分に収めた感じがあって、ジュダの役割がいまいち掴めなかった。

#5
地震特番により、放送中止に。
恐らく振り替え放送があったんだろうけど、見逃してしまった。残念。
しかも#6の冒頭はそのドラマに珍しく、前話からの繋がりがあった上に、#6の高柳先生の様子がおかしい。
なにがあったの。気になるなあ。

#6
「なんのために勉強するの?」
なぜか学校でまったくと言っていいほど言葉を発しないが文武両道なある男子高校生とがむしゃらに勉強するある男子高校生の話。
心が通じた時のたかやなの表情が何とも言えない素敵さでぐっと心を掴まれた。
それから、いつもエンドロールのあとにある「山田裕貴からの問いかけ」コーナーでの「なぜ勉強するの?」に対する山田くんの答えもなかなか良かった。

#7
集団主義?個人主義?それとも…
倫理の授業で「主義」を取り上げたあと、生徒たちは自分に落とし込んで「主義」について考えていた。
私の学生時代もクラスが個人主義を受け入れない雰囲気があったし、担任も集団主義(というより全体主義)を好んでいたのは明らかで、個人主義の自分は浮いていたのを思い出した。
高校生は特に、クラスごとに競いあって、集団主義が作られやすい環境だと思う。
ましてや、現代みたいにコミュニティが教室のなかだけにとどまらず、SNSでも強いられ、窮屈な思いをしている生徒もいるのではないかな。
そんなことを考えながらドラマを見ていた。
自分の意思で集団主義を抜けた相澤さんは、全体主義と化したクラスから異端分子としてじわじわと攻撃をされてしまう。
そんな状況を知った高柳先生が、倫理の時間を使って、授業の最後のグループワークとして、倫理の受講者たちでその状況をディスカッションすることになった。
高校三年生という、受験生としてピリピリする時期に、特には受験科目になりづらい倫理という科目をあえて選んだ彼らが出す答えとは…
正直、自分が高三の時の選択科目と言えば、どの生徒も別の受験科目の教科書を持ち込んで内職をしていた記憶がある。
でもそれは、「学問を学ぶ楽しさ」とはかけ離れていて、ただ教科書をなぞる詰め込み教育だから起きた状況な気がする。
私は大学で「学問を学ぶ楽しさ」を知ることができて良かったけれど、高校生の時に高柳先生のような授業を受けてみたかったなあとも思う。
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