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それでも僕らは走り続けるのととのレビュー・感想・評価

それでも僕らは走り続ける(2020年製作のドラマ)
4.5
完走しました。いや、最後までこの平坦なストーリーをここまで魅力的に作れた力量に拍手です。

終盤 二つのカップルのことも気になりますが、周辺の人物に対する丁寧な描写がすごい。ラストはマラソンをゴールしたような達成感、多幸感に包まれました。憎いほどおしゃれな持って行き方。

従来の韓ドラあるあるを見事に逆手にとって、あくまでソフトにジェンダー感や家族観、恋愛観を進化させてるのに感心した。

分かりやすく言えば、「ヒロインが突然バランス崩して倒れそうなときに相手がさっと背中支えてそのまま二人が見つめ合う」という何度も使われた陳腐なシーンがない。

理不尽な出来事にヒロインが怒り心頭で理性をなくすとか、勝手に状況を誤解して相手を憎むとか、解決しそうな展開で急に電話が鳴ってうやむやになるとか…ストレス多いシーンもない。

この脚本家さんの次作に大いに期待します。

以下 途中で感じたこと

・ヒロインの衣装、スニーカーも含めていい。韓ドラあるあるのすれすれミニスカートは椅子にも座れないでしょとか余計な心配がいらない。明日にでも電車でお出かけできるようなスタイル。

・ギョム君のブカブカオーバーサイズの服。シワン君のかわいさがアップしてて、弟味満喫。

・三角関係も駆け引きもなくて、ヒロインミジュはズバリと言い放つストレートな行動派。怒ったフリもかわいい。

・シンセギョンさんの通訳ぶりがかっこいい。

・毎回仕込んでくるレトロ映画ネタの解明が楽しすぎる。演出のセンスを感じる。でも昔の映画は古すぎて、これパッとわかる世代…私です。
ちなみにわかった映画、ドラマ⬇️

名もなき野良犬の輪舞
ジョンウィック
サイコ
カサブランカ
ET
2001年宇宙の旅
ゴッドファーザー
Before Sunset
椿の花咲く頃
ザ エージェント
バットマン
狼の誘惑
電車男
私の頭の中の消しゴム
甘い生活…



・食い違い、ちぐはぐ、理解しにくい、不可解、次元が違う…
わざとそこを狙ってる価値観が新鮮。

・カンテオ君が優しくて人懐こい大型犬風味でいい。

・従来のドラマをチクッとひねくった脚本に吹き出す大人のユーモア。

・様々な価値観をしっかり書き込んでいる。登場人物のうち特に女性キャラクターが今を反映してて素敵。第一男に媚びない人ばかり。
男性キャラクターは女性にマウント取らず、素直で優しい。
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