ひろるーく

サンクチュアリ -聖域-のひろるーくのレビュー・感想・評価

サンクチュアリ -聖域-(2023年製作のドラマ)
4.1
これは見応えのある素晴らしい作品。日本のテレビドラマの低予算、アイデア使い回し化に少々うんざりしているところなので、やはりNetflix、期待を裏切らない。

主人公猿桜(猿桜)=小瀬清役の一ノ瀬ワタルがいい。
これまで何本か彼の(だいたいイカれた暴力男役)出演は観ていたが、この作品でピタリとはまった。

北九州市門司出身の彼は、父親(きたろう)が経営する寿司屋「小瀬鮨」の息子で、母親(余貴美子)と3人幸せに暮らしていた。

しかし、父親が抱えた借金により寿司屋と家は売りに出され、家族は崩壊的な状態になる。
父親は道路工事の交通整理の仕事、母親は近所の男に性的な施しをして収入を得ている。
その中で、清(一ノ瀬ワタル)は、不幸な家族の今の状態を憂い、当然のようにグレる。柔道経験者であるため、身体が大きいだけでなく強い。

そして、ある時出会った相撲の猿将部屋の親方猿将(ピエール瀧)にその才能を見いだされ、「金を稼ぎたかったら相撲取りになれ。土俵に金が埋まっている」と口説かれ、部屋に入門。

しかし、そもそも相撲に憧れも敬意もない清だから、格式をとにかく重んじるこの世界に馴染めるはずもなく、稽古もまともにせず、いわゆる「喧嘩の舞台」として土俵に上がる。暴れ回る。
なので当然相撲協会からは嫌われ、疎まれる。

それでもかなり強いので順調に星を重ねる。
親方から「猿桜」という名前をもらう。

その後、ライバル静内(とにかくでかい)の出現、部屋内でのいざこざ、キャバ嬢への恋と裏切り、父親が交通事故により意識不明のまま入院生活などなど、さまざまなエピソードをちりばめながら、猿桜が「強く」なっていく姿を描く。

猿桜とアメリカ帰りの新聞記者クニシマ(忽那汐里)のキャラクターがこのドラマの軸になっている。

僕は相撲にさほど関心がないのだが、少しずつ興味が出てきたのはクニシマというまったく相撲を知らない女性の素朴な疑問から、この妙なスポーツ(スポーツではなく神事といったり)の面白みを少しずつ発見していく過程が重なるから。なるほど、面白い。苦しんで苦しんで勝てばゾクゾクする。

これ、シーズン2ありますよね。ていうか、絶対に作っていただきたい。

この作品の相撲取り役(もう何十人も出てきます)の出演者はみな1年ほど身体を作り上げたそうです。しかも相撲経験者ばかりではなく。

やはりこのくらい時間と予算をかけないと、心底感動するドラマって作れないんだなと、思いました。
韓流ドラマはそのくらいもうずっとやっていますものね(作品にもよりますが)。

日本のドラマはここ昨今、スポンサーの顔色をうかがいながら、やっと予算をつくってもらう。
その予算が少ないから、もう、せまい画角でロケもなく、室内とコンビニと街、道路だけしか映らないようなドラマしかできない。
もうそんなドラマにちょっと辟易している方も多いですよね。

ともう世界に向けたコンテンツとして売るドラマを作るという姿勢がないとね。世界で売らないと。まあ、よく言われていることですから、あえて言うことでもないですが。

そんなわけで、とても面白かったです。

最後は泣きました。おすすめです!
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