いろんな人の自撮り映像をつなげてつくられた映画
人生を感じた
布団の中とか、かなりパーソナルな時間を撮ってる人もいて、映画館のスクリーンでそれを観てることにちょっとどきどきした
自撮りという行為の不思議さを思った
自撮りは他撮りに比べてプライベートな素の自分が出やすい
でもカメラの前にいる時点で、完全な素にはならない
どこかで演技のスイッチが入るんじゃないかと思う
実際映画を観ていても、誰かに語りかけるような映像が多かった
それは「本音」であり「演技」でもある、不思議なことば
でも、いちばん真実に近いような気もする
漠然と「素の自分を出せ」と言われても難しくて
語りかける誰かを想定するからこそ、ことばは力を持つ
演技がフックとなって真実を引き出す
語りかける「誰か」とは、特定の知人か、不特定多数の誰かか、画面に映った自分か、過去や未来の自分か、あるいは神様みたいな存在かもしれない
小説を書いているときの感覚にも似てる気がした
誰に向けて書いてるんだろう、と考えたとき、神に書いてる、と思うことがある
つまり自撮りも宗教なのか…?
併映の『光の輪郭と踊るダンス』もそうだけど、「映画って何だろう?」と考えさせられた
こういう自己言及的な「問い」がある作品は好きだ
ジャンルの定義を揺さぶる
突き詰めて言えば定義ってぜんぶ嘘で、共同幻想を事実だと思い込んでるだけなんだよ、
っていう真実を思い出させてくれる、知性を感じる
嘘を嘘だと自覚する知性と、それでも真実を諦めない信仰心のあいだに、良いものは生まれる気がする