もっとライトな物語を想像していましたが、思ったよりメッセージ性がはっきりずっしりしていて面白かったです。善と悪の間にあるグレーゾーンや、そのグレーゾーンこそが人間を人間たらしめているものであること、おとぎ話に潜む偽善やそれを疑ってみる心など、多くの人がなんとなくは気づいているけれどもあまり考えたくないようなことを描いていて、パッケージや設定とは裏腹にかなりビターな要素が多いと感じました。また、おとぎ話では男女の性愛的な部分に結末が落ち着きがちですが、そこに対しても強いアンチテーゼがあって良かったです。そして何と言っても音楽の選びや使い方が非常に印象的でした。現代のポップスを上手く使って壮大なカオスやビジュアルを魅せる演出が多く、ところどころに音楽と画が相まったしびれるようなかっこよさがあったと思います。気になるところはあれど、期待をかなり上回る一作でした。
