ShinMakita

ハケンアニメ!のShinMakitaのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
1.9
公務員を辞め、大手アニメ制作会社に就職した斎藤瞳。彼女には、名監督・王子千晴の作品を超える作品を作りたいという夢があった。そして7年…土曜17時枠の新番組『サウンドバック』で、ついに彼女は念願の監督デビューを果たすことになる。しかし熟練スタッフたちのシラケた目や、作品の出来や瞳の作家性に全く興味なくビジネスしか頭にないプロデューサー・行城に振り回されて、なかなか思い通りにビジョンを形に出来ずにいた。しかも同じ時間帯に他局は王子の新作『運命戦線リデルライト』をぶつけてくることになる。夢を実現させるため、なんとかリデルライトの視聴率を超える=覇権をとるべく奮闘する瞳だったが…


「ハケンアニメ!」


以下、コージーコーナーの苺ネタバレ。


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アニメ制作現場の裏側を描き、モノ作り過程の山あり谷ありなハラハラと感動を与えてくれる典型的お仕事映画……に留まらないのが魅力。特にアニメに興味がなく、なんならちょっと嫌いですらある俺が一番気に入ったのは、過去にアニメに批判的だった主人公像と、同じくアニメ嫌いである少年との交流を見せてくれたこと。ツクリモノのフィクション…アニメや漫画は制限がないから、究極のフィクションだと思うのだが…ですら、ツライ現実を生き抜く力を与えてくれるという部分がしっかりあるから、門外漢にも刺さる映画になったのではないでしょうか。キャラクターたちもリアルと戯画化の絶妙なバランスを保っていて、特に行城役の柄本佑が抜群の存在感。瞳VS王子の対決モノとしては、決着がついた後にさらにポストクレジットで見事なオチがついて、ニヤリとしてしまいました。劇中アニメのクオリティも高く、最終回のラストシーンだけでも落涙しそうなほど。作り手の顔と思いが判るアニメって、こんなに感動できるんだ…という新発見でもありました。もちろん、今年ベストだとか傑作とかいうほどではないんだけど、東映映画として観たら「見えない目撃者」以来の俺的ヒット作だと思うし、アニメへの偏見を払拭させるに足る説得力と感動を与えてくれたことで、良作と評価します。俺もエクレア食いたいなぁ…
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