散らかった机の上に、まるで意志があるかのように立つ鉛筆。奇跡。(『NOPE』にもあった)
行城さんが味方に思えるあの瞬間に、初めて顔がアップになるのは震えた。(それ以降のアツい行城描写はやりすぎな気もしたけど。)
主人公を死なせることにこだわり続ける王子の翻心と、苦悩の末に”ハッピーエンド”に新たな解を与える(そして譲らない)瞳のキャラクター、というドラマ性にあっぱれをあげたい。「大企業こそリスクを取れ」的なメッセージもブラボー。
劇中での、2次創作、ないし見る側の意見を軽視した発言・描写等々には少しゲンナリだが、そんな製作陣のみなさんには、東浩紀著『動物化するポストモダン』を進呈したい。
極端なクリエイター主義を批判する向き、同情する向きと、それぞれあるわけだが、今の日本で、こんなにアツい”奇跡”が現れる場所として想像できるのは、やっぱりアニメ製作の現場しかないのではないか、とも思う。