シゲフジ

RRRのシゲフジのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
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アクション映画としてみた時には、語るべきシーンが多すぎて何も言えない。1人vs10000人、動物たちの蜂起、エクストリーム騎馬戦。ラージャマウリ監督の発想力がすごすぎる。これはハリウッド映画を押し退けて、アカデミー賞の主要部門の賞をを取ってもおかしくない。

またインド独立運動をテーマにした本作だが、ガンジーの有名な「非暴力、不服従」以外の側面や各地域で知られる(他の地域では知られていない)英雄たちにスポットライトをあてている。

テルグ語を中心にいくつかの言語が盛り込まれた多言語映画であり、相反する属性を持つ主人公二人が融和することにより、大きなことを成し遂げていく。

それぞれの主人公が代表する地域は、同じテルグ語圈にある州なのだが、かなり政治的に険悪な関係にある。現在のインドの状況を踏まえた上で、それでも手を取り合っていくべきだという明確なメッセージが、映画史に残る熱量で描かれる。

インド映画でよくある躍りですら、明確な西洋文化史上主義に対するカウンターとして繰り出される。痛快。
(インド映画の話をすると、なぜかB級映画を語るみたいにちょっと小馬鹿にして話をする人とかよく見かけるけど、まさに西洋文化史上主義に毒されてると思うんだよな)

インド映画産業で有名なボリウッドではないアジアの一角から、世界に向けて放たれた矢。この作品がインドから遠く離れた日本の劇場のシアターを、公開から1ヶ月経っても満席にしている。超大作のプロローグのようにも感じられた「RRR」が、今後どう伝わり、どうなっていくのか。映画の力を感じた。
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