通りすがりのいがぐり

ヘルドッグスの通りすがりのいがぐりのレビュー・感想・評価

ヘルドッグス(2022年製作の映画)
5.0
狂気の始まり 地獄の終わり

ここ数年間抱え込まれておきながら発散される機会が少なかった関係性ドラマの熱量を過剰にぶち込まれたTHE 関係性ドラマが生まれた。潜入捜査官と組織の狂犬、出会うはずがなかった2人は運命の悪戯により巡り合い意気投合し背中を預け合う。初っ端から純度の高いドラマを見せつけた挙句さらなるドラマを重ね合わせた挙句さらにさらにさらに重ね合わせる濃厚な関係性ドラマの連続には眩暈がするほど美しくそして儚いものだった。ぶつかり合う正義と仁義。寄り添い合う孤高と孤独。混ざり合う欲望と思惑。関係性外のドラマも岡田准一師範監修のアクションも相まって見応えのある仕上がりになっているが、この濃厚な関係性ドラマが全てを喰らっていた。凌駕していたではない、喰らっていたのだ。ドラマが全てを喰らっていた。日本を代表する豪華キャストが全身全霊捧げて危険な綱渡をする人物達を演じきったのも大変良かったし、何よりMIYAVIの"理想的な最高の上司"が大変大変最高なキャラだった。今年公開された映画には数多の"理想的な最高の上司"がいたが、彼は間違いなく上位に入るくらいの存在だった。

強者達による臨界点突破の濃密な人間ドラマ。どうかこのどうしようもなく純愛に似た何かを浴びてほしい。これぞ正しく本物の"関係性ドラマ"だから。