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百花のsawamotodesuのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
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感想書いて良さそうなタイミングなので書き直します。
ワンシーンワンカット、の手法が先行して話題になりがちだけれど、それは目的に達するための手段として選択した結果だと。
配信やテレビで視聴離脱避けるために音楽は過剰気味につけるし俳優の寄りや切り返しを多用して見る人に解釈や感想を押しつけがちな最近だけれど、この映画はシーンに編集がないことで見ている一人一人がそこから自分で感じて解釈を持つことが要求される。見る人により解釈が違う可能性すらある。時間の編集がないから流れているのはある種リアルな時間だし映っているのは現場のリアル。そうなると俳優の肉体がものすごく意味をもつし、そこしか無いとも言える。菅田くん原田さんの演技はそれに全身で応えている。勢い引き絵やバックショットが多いけれど、それもまた見る人に思考を求めるし押しつけがない。そしてその分絵は美しい。寄りや切り替えしの多用を求める今の映像編集の「当たり前」とは逆のものなのかも知れないが、皆が同じものを作る必要なんてないと常に思う立場からするとその時点で嬉しい。こうしなきゃいけない、って事が嫌いだから。そしてそれがデータの興味曲線による、なんて事が周りで多すぎる。この映像は少なくとも個性がある、という時点で良いと思う。記号としてのカットの集合体という映像を敢えて避け、ワンシーンワンカットに結果こだわっている事も溝口健二好き的には嬉しいし。ただし離脱的な観点からはわからない。確かに家で配信で見たらしちゃう気もする。映画だから出来る事、なのかも知れない。だから映画館で見ないと感想がまるで違う映画になるのだろうな、と。
内容についてはまた感想は別です。
とにかく映像について、で。
今村さんのカメラ相変わらず素晴らしいな。

試写で見て。
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